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2019年12月 2日 (月)

エピジェネティクス ―生命科学の新しい必修科目―(2) ②

続き:

 

■遺伝子を「巻物」の文章にたとえてみる

 

 遺伝子発現を説明するためのアナロジーとして、2万個の文章からなる巻物を想像してほしい。それぞれの細胞において、すべての遺伝子が発現しているわけではない。巻物にたとえると、すべての文章が読み出されてはいない、ということに相当する。そのために、巻物には、この文章は読んでください、あるいは、読んではいけません、という付箋がつけられている。そして、一部の文章は読めないように伏せ字にされている、と考えてみよう。こうすれば、一部の文章だけをひろい読むことができて、ひとつの物語ができあがる。

 同じ文章が書かれている巻物であっても、付箋や伏せ字によって読み出し方を変えると、―いま、太郎、次郎、花子の人物の文章とする。―この3人の人間関係が違ったものとして浮かび上がってくる。細胞にたちもどってみると、それぞれの細胞において、「付箋や伏せ字の状態=エピジェネティクスの状態」によって、「読み出される内容=細胞の性質」が決められる。ということになる。

 付箋や伏せ字といわれても、文章と遺伝子は違うじゃないか、と思われるかもしれない。しかし、遺伝子やゲノムにも、分子レベルにおいて、付箋や伏せ字にほぼ匹敵する状態が存在する。それこそがゲノムに上書きされた情報、エピジェネティクスなのである。それはいったいどのようなものなのか。

 次に、ゲノムあるいは遺伝子における「付箋」と「伏せ字」の分子実体について、ごくかいつまんで説明してみたい。

 

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