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2019年12月20日 (金)

進化する A I 兵器 ①

千葉紀和(毎日新聞東京本社科学環境部記者)さんの小論を「世界 10」に載せている。コピーペー:

 

◆10カ国超が開発を競う

 一瞬の出来事だった。固定翼の小型ドローンが空を滑らかに飛び回る。突然、雪原に小さな標的を発見すると、いっきに直滑降して的確に突撃し、爆発を起こした。

 アラブ首長国連邦のアブダビ。2019年2月に開催された世界最大級の武器見本市で、ある自爆式の無人兵器が軍関係者の注目を集めた。「KUB-BLA(クブラ)」と呼ばれる新型ドローンは全幅 1.2 m、最大時速 130 kmで30分間飛行し、3kgの爆薬を搭載できる。製造元は自動小銃AK47で知られるカラシニコフ社だ。

 同社を傘下に持つロシア国営ロステックのセルゲイ・チェメゾフ最高経営責任者(CEO)は冒頭の実験映像を公開し、「従来の防空システムでは迎撃できない効果的な兵器だ」と現地メディアに自信を見せた。

 この兵器が注目を集めたのは、価格は非公開ながら、一部の独裁国家やテロリストなどの武装勢力にも拡散しやすくなることを意味する。

 自爆する姿から海外で「カミカゼ・ドローン」と呼ばれるこうした徘徊型の無人兵器は、目新しい存在ではない。代表例は、イスラエル航空宇宙産業(IAI)が1990年代に開発した無人機ハーピーと改良型のハロップだ。敵のレーダーサイトからレーダー照射を受けると自動的に突撃して自爆し、防空網を制する。巡航ミサイルと異なり、無人機が自ら攻撃目標を探し、見つかるまで上空を飛び回って待機できる。

 中国やインドなど少なくとも9カ国に輸出され、2016年には輸出先のアゼルバイジャンが対立していたアルメニア軍をハロップで攻撃、兵士7人が死亡するなど、実戦でも使用された。IAIも今春、小型化したミニ・ハーピーを披露し、価格面をPRしている。

 ハーピーなどは初歩的なAIとセンサーを備え、人間が事前に設定した特定の電波などに反応する。設定次第で、より攻撃的にもなる。設計上は途中の判断にオペレーターが介在可能だが、実際には時間的猶予はほとんどなく、「完全自律型」兵器に近い存在とみられている。

 こうした兵器が単体ではではなく、集団として運用されれば、さらに威力は高まる。そこで重視される技術が、多数の機体を蜂の大群(スウォーム)のように同時に操る「スウォーミング(群制御)」だ。

 米国防総省は2017年1月、103の小型ドローンの群「ペルディクス」の編隊飛行実験の成功を発表した。公開された実験映像では、戦闘機から投下されたドローン群がAIで制御され、全体として行動する「集団意思決定」、状況に応じて編隊を維持する「適応編隊飛行」、編隊が崩れると元に戻す「自己回復」などの高度な技術を実証した。これだけでも驚きだったが、半年後、さらなる衝撃があった。

 中国の国有企業「中国電子科技集団」が119機の編隊飛行を成功させ、記録を更新してみせたのだ。これらのドローン群が爆薬を積み、一斉に自爆攻撃を仕掛けることも絵空事ではない。

 AIを搭載した兵器は、米中をはじめ、ロシア、イスラエル、英国、韓国など10ヵ国以上で開発中とみられている。各国が開発にしのぎを削るのは、AI兵器が戦争の様相を一変させ、軍事バランスを根底から揺るがしかねないからだ。

 

 

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