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2019年12月 4日 (水)

Science 硬組織の維持に働く幹細胞の新たな研究手法と最近の知見 ①

溝口利英(東京歯科大学口腔科学研究センター准教授)さんの研究文を載せる。コピーペー:

 

はじめに

 

 骨は生体を支え、内部に満たされた骨髄では造血を営むことにより生体を維持する。骨髄間葉系幹細胞は、骨が運動器および造血器として機能を発現するための中心的な役割を担う。すなわち、骨を作る骨芽細胞に分化して骨の強度を保つと同時に、血液の幹細胞(造血幹細胞)の維持と分化を制御する。

 骨髄間葉系幹細胞に関する研究の歴史は古く、1960年代に Friedenstein らが行った実験にさかのぼる。彼らは、移植した骨髄細胞が造血を伴う骨組織を形成することを見い出し、

骨髄間葉系幹細胞の存在を提唱した。また、骨髄に含まれるすべての細胞を培養し、その中で線維芽細胞様のコロニー(CFU-F)を形成し、さらに骨芽細胞、脂肪細胞、軟骨細胞などへの多分化能を示す細胞を間葉系幹細胞とした。以上の移植および培養実験系は、現在も汎用される有用な評価方法である。しかしながら、幹細胞の生体内における動態を理解するには不十分だった。

 遺伝子改変マウスを用いた研究手法は、細胞の局在を生体内で捕らえ、その挙動を経時的に観察することを可能にした。その結果、間葉系幹細胞の骨髄内でのダイナミックな動きが明らかになったきた。本稿では、以上の研究手法に触れ、そこから得られた知見を基に、骨代謝における骨髄間葉系幹細胞の重要性を概説する。

 さらに、骨と並ぶもう一つの硬組織である歯に存在する歯髄幹細胞についても、生体内での動態に着目した研究が進んでいる。歯髄幹細胞が関わる歯の修復機構における最近の報告、および我々が得た所見を紹介する。

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