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2019年12月23日 (月)

進化する A I 兵器 ④

続き:

 

◆安倍政権の「軍民統合」路線

 日本も、この流れを踏襲している。2018年末に閣議決定された新たな「防衛計画の大綱」は宇宙、サイバー、電磁波といった新領域での戦闘を想定する「多次元統合防衛力」を掲げ、AIなどの先端技術の「獲得・強化」を強く打ち出した。安倍晋三首相は「従来の延長線上ではない防衛大綱」と胸を張ったが、「人工知能等のゲームチェンジャーとなり得る最先端技術を始めとする重要技術に対して選択と集中による重点的な投資を行う」「人工知能等の技術革新の成果を活用した無人化・省人化を推進する」といった露骨な内容は、確かに従前には見られなかったものだ。

 ただし、今回の防衛大綱は突然出てきたものではない。戦後の歴代政権が慎重に一線を引いていた国防政策と科学技術政策との一体化を、第二次安倍政権は着々と進めてきた。その延長線上の産物に他ならない。

 2013年末に閣議決定された「国家安全保障戦略」と前回の防衛大綱で、大学や公的研究機関との連携による「デュアルユース技術の振興」や「積極的活用」が盛り込まれた。2014年には武器輸出三原則の見直しで、輸出や国際共同開発が可能に。2015には「技術的優位の確保」を目指す防衛装備庁が発足。2016年には科学技術政策の根幹である「第五期科学技術基本計画」の中に「我が国の安全保障の確保に資する技術の研究開発を行う」と明記された。「科学技術イノベーション総合戦略2017」で目標とされた「無人化、スマート化・ネットワーク化、高出力エネルギー技術、現有装備の機能・性能向上のための研究開発の推進」は、防衛省が「中長期技術見積」で重視する分野と完全に同一化。2018年には同戦略が「統合イノベーション戦略」と改変され、表題から「科学技術」の文字が消えて「統合」された。

 中でも、防衛省が2015年に始めた、防衛装備品に応用できる最先端研究に助成する「安全保障技術研究推進制度」は、「大学や公的研究機関の研究者に軍事研究させる仕組みだ」と批判が集中。科学者の代表機関・日本学術会議が2017年、大学研究者らの応募を規制する声明を出すに至った。だが今も応募する研究者は後を絶たない。年3億円で始まった予算は、2年後には年110億円と一気に増額され、制度を運用する防衛装備庁の外園博一防衛技監は2019年6月、今後2年間で総額500億円まで伸ばす」と、さらなる拡充を明言している。

 科学技術予算の国防分野への「選択と集中」が進むと同時に、国防政策として都合のよい科学技術分野に高額予算を付け、研究者を取り込む仕組みが着々と整う。こうした国策の変質と平和憲法の整合性は、もっと議論されて良い。

 研究者側の姿勢も問われている。ある政府高官は、今こうした政策を進める理由について尋ねた私(千葉)にこう答えた。

 「許容される政治・社会状況になってきたから、に尽きる。かっての大学だったら(反発が強くて)ありえないが、今は簡単だ」

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