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2020年1月23日 (木)

軍事研究をアカデミズムは拒めるか ③

続き:

 

応募数・採択数の変化

 過去5年間の応募数と採択数の一覧(表 略)。タイプA→3900万円以下/年、3年間、シニア研究者向け、C→1300万円以下/年、3年間、若手研究者向け、S→総額20億円以下/年、5年間、リーダー的研究者向け、と表にある。2017年度にタイプSの大規模研究課題が加わって一気に予算が100億円台に増加した。内訳はタイプA・Cで総計約10億円、タイプSに総計約90億円で、それぞれ経年分も含めるのでタイプA・Cが3年累計30件程度(実績34件)、タイプSが5年累計25件程度(3年の実績16件)が恒常的に走っている状態が想定されているようである。

 データから読み取れることを纏めておく。

①応募者数が、109件→44件→104件→73件→57件と変化してきて、初年度の隆盛、2年目の激減、3年目の回復、と言えるが、4、5年目になるに従ってじり貧状態である。2年目の激減は安全保障関連法が国会で強行採決された翌年で、その記憶が生々しく残っており、軍事研究に手を染めることに対して研究者の多くが躊躇しためである。だから、3年目のペースが普通になるかと思ったのだが、4、5年目の応募者数は明らかに減少傾向で、装備庁も思案投げ首なのではないだろうか。

②明確に言えることは、大学からの応募数が58件→23件→22件→12件→8件と、一貫して減少したことである。採択数も4件→5件→0件→3件→2件となり、大学はこの推進制度を担う主要なプレイヤーではなくなりつつある。日本学術会議が2017年3月に発出した「軍事安全保障研究に関する声明」において、この制度により学術研究に権力の介入を招き学問の自由が阻害される危険性を指摘しており、かなりの大学がこれに呼応して、応募しない、軍事研究を行わない決意を表明していることが、この結果に繋がっている。

③公的研究機関の応募は、22件→11件→27件→12件→15件と推移しており、3年目から減少傾向は続いている。しかし、常連的な研究機関が存在し、採択件数も多くを占め、指定席のようになりつつある。一方、企業からの応募は、29件→10件→55件→49件→34件(採択は2件→3件→9件→10件→7件)と応募全体の過半数、採択のほぼ半分を占めるようになり、この推進制度を支える中核となっている。

④問題は装備庁が推進制度の目玉として2017年度から始めたタイプSで、応募要領には毎年8件程度の採用予定としていた。ところが、全体の応募数は18件→19件→6件(採択6件→7件→3件)と低調続きで、ついに今年度は応募数が採用予定数を下回り二次募集をすることになった。公的研究機関では応募数はついに0件となった。企業も応募数は12件→16件→6件に対し、採択4件→5件→3件とやはり低調で、大企業がそっぽを向き、後に述べるように、タイプAを含めて、ベンチャーや子会社などが採択される傾向が強まっている。

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