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2020年1月15日 (水)

Clinical ~超高齢社会における歯科医療の役割~②

続き:

 

2) 感染と栄養

 今までの多くの研究報告によって、口腔細菌が全身感染症や炎症性疾患の原因の1つとして認識されるようになってきた。その一方で、口腔衛生管理、口腔ケアが口腔細菌由来の全身感染症の予防として有用であることが医療介護の現場で広く知られるようになってきた。

 日本呼吸器学会の『成人肺炎診療ガイドライン2017』では、肺炎予防としての口腔ケアが推奨されている。医療介護の現場では、口腔ケアの重要性は既知の事実となりつつある。口腔由来の全身感染症のリスクを低減させることを目的とした口腔衛生管理である。

 「フレイル」や「サルコペニア」という言葉を最近よく耳にするようになったのではないだろうか。

 これらのキーワードは、これからの高齢者歯科医療にとって必要不可欠な概念である。前期高齢者では、過多栄養による生活習慣病が問題であった。そのため、「メタボ」のキャッチフレーズで、生活習慣病予防が広まった。

 後期高齢者では、逆に低栄養による痩せが問題となっている。この「痩せ」がフレイルであり、サルコペニアである。この状態は、そのまま放っておくと、転倒、骨折や感染のリスクも上がり、要介護リスクも高くなると報告されている。

 この「フレイル」と「サルコペニア」の要因の1つが口腔の機能低下と考えられている。口腔は、捕食した食物を粉砕し、唾液と混ぜ、食塊形成し、咽頭へと送り込む器官である。

 食べるという栄養摂取の入口である。口腔機能が障害されると、栄養障害のリスクが高まり、フレイル、サルコペニアと陥りやすい状態となろ。高齢者の栄養摂取を考えた場合、補綴治療の目的は、咬合を回復させることではなく、咬合を回復させ適切な栄養摂取を促すことで、オーラルフレイルやフレイルを予防することである。低栄養やフレイルの予防などを見据えた口腔機能管理へとアウトカムが変化する。

 次項から感染と栄養、それぞれにフォーカスして、口腔管理の目的について、

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