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2020年1月29日 (水)

個人データ保護とは何? ①

高木浩光(工業技術院電子技術総合研究所)さんは「世界 11」に就活支援サイト―「内定辞退予測」問題が炙り出すものとして取り上げている。コピーペー:

 

廃止となった「内定辞退予測」

 就活サイト「リクナビ」が炎上。日経が、「イブニングスクープ」として2019/06/01、電子版で「就活生の『辞退予測』情報、説明なく提供 リクナビ」として報じた後、同紙の「データの世紀」特集で連日取り上げたほか、各紙も繰り返しこの問題を報じた。リクナビを運営するリクルートキャリア社は、2019/08/05、問題とされた「リクナビDMPフォロー」の事業を廃止すると発表、2019/08/26、の会見では政府の個人情報保護委員会から勧告・指導を受けたことを、2019/09/06、には東京労働局からの指導があったことを公表した。

 「リクナビDMPフォロー」とは、求人企業向けに、就活生が当該企業の内定を辞退する可能性の高低を個人ごとに予測したデータを、年400~500万円程度(日経報道より)で販売していた事業である。リクナビの発表によれば、そのデータの用途は、求人企業が内定を出した就活生に対し、辞退しそうな場合に引き留める(フォローする)ことが想定されており、内定の合否判定には使用しないよう、求人企業に「参画同意書として確約」してもらっていたという。

 一般に、就活生が内定を辞退するのは、他の本命の会社があったということである。求人企業からすれば、自社が本命でない就活生には初めから内定を出さないようにしたい面もある。実際、予測データは、内定後の「フォロー」のためと言いながら、内定前の段階で提供されていた。一部報道では、リクナビ広報が「合否判定に使わないというのは紳士協定のようなもの。100%使われていないとは言い切れない。使っていたことがわかって提供を停止した企業もあった」と答えたという話もあった。就活生からすれば、「この子は他に本命がありますよ」と密告されたようなもので、本命に合格できなかったらどこからも内定を得られないということも起き得るだけに、不信感が広がった。このような予測データは就活生にとって不利益な情報にほかならない。

 リクナビは、廃止を発表する際の「お詫び」の文で、「学生の皆様の『不安』『怖い』『裏切られた』といった言葉に触れることで、学生の皆様の心情に対する当社の認識欠如こそが、根本的な課題であると認識するに至りました」とし、利用者である就活生への背信行為となったことを認めた。

 この事件は、悪しき実例としてわかりやすいものであるが故に、かねてより燻っていた日本の個人情報保護法の不備を一挙に露呈させることとなった。予備データを買った求人企業(34社に提供したとリクナビは発表)にも法違反が疑われており、これらに対する個人情報保護委員会と労働局による指導・勧告等が準備されていると報じられている。その結果いかんによっては、再び激しく炎上することもあり得る。

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