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2020年1月20日 (月)

Clinical ~超高齢社会における歯科医療の役割~⑥

続き:

 

2) オーラルフレイルと口腔機能低下症

 口腔の機能低下を示す用語として、オーラルフレイルと機能低下症がある。2019年、日本歯科医師会は、オーラルフレイルの定義を「老化に伴う様々な口腔の状態(歯数・口腔衛生・口腔機能など)の変化に、口腔健康への関心の低下や心身の予備機能低下も重なり、口腔の脆弱性が増加し、食べる機能障害へ陥り、さらにはフレイルに影響を与え、心身の機能低下にまで繋がる一連の現象及び過程」と明記した。

 一方、口腔う機能低下症は、もともと2016年に日本老年歯科医学会から、「いくつかの口腔機能の低下による複合要因によって現れる病態」として提唱され、2018年に保険収載された病名。オーラルフレイル概念図が参考文献によると、口腔機能低下症は第3レベル「口の機能低下」のレベルに位置付けられる。

 口腔機能低下症とは、う蝕や欠損のような口腔内の器質的障害ではなく、口腔内の複合要因による機能低下の状態を指す。口腔機能は、加齢や疾患等様々な要因によって徐々に低下していく。口腔機能の低下はマスキングされやすく、1つの機能低下が他の機能によって補完されるため、自覚症状が低く、機能低下が進行してから気がつくこともある。そこで、口腔機能低下の原因となる各因子をデンタルクリニックで定量的に評価・診断することで、患者の口腔機能の低下を客観的に評価することができる。また、定期的な評価を行うことで、口腔機能の刑事的変化を把握でき、機能低下の早期発見、早期対応につなげることができる。

 口腔機能低下症の診断では、口腔機能を7つの下位症状に分類し、その下位症状の診断項目が3項目以上該当したときに口腔機能低下症であるとされた。(後で項目を述べる)

 口腔機能低下の状態は、栄養障害やフレイルといった高齢者特有の状態に繋がる前段階として考えるとよい。――→第2レベル「口の些細なトラブル」である。

 歯周病に対し て歯科疾患管理を行ってきた患者が高齢期になったときに、口腔機能の評価を行い、口腔機能低下症として診断された場合には、歯科疾患管理に口腔機能管理加算を加えて口腔管理を行っていくイメージである。継続的な管理には動議付けや、生活・栄養・訓練指導などが含まれる。この栄養や生活指導とは、口腔機能を維持し、栄養を考慮した食物を健康な口で食べ、栄養障害やフレイルを予防しようという意図がある。つまり、デンタルクリニックからフレイルや栄養障害の予防を発信していくことにもつながる。

 

● 口腔機能低下症の各項目の診断基準(3項目以上該当→口腔機能低下症)

口腔不潔           TCIスコアで50%以上

口腔乾燥           口腔水分計(ムーカス)にて27.0未満

咬合力低下          咬合力500N未満、または20歯未満

舌口唇運動機能低下      ディアドコキネシス (pa、ta、ka) の連続発音のどれかが6回/秒未満

低舌圧            舌圧測定器で30kPa未満

咀嚼機能低下         グミゼリーによる咀嚼でグルコースの濃度100mg/dl以下

嚥下機能低下         EAT-10 (Eating Assessment Tool-10) で3項目以上該当

 

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