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2020年2月22日 (土)

Clinical 新しい歯周病の分類 ⑤

続き:

 

3) 第三段階:ステージ

 歯周精密検査およびX線画像撮影に加えて、主に問診により歯周炎による歯の既往を精査。これらの情報をステージ分類に当てはめて、そのステージを決定する。これは大まかにステージⅠもしくはⅡと、ステージⅢもしくはⅣかを見積もるステップと、最終的にステージを確定するステップに細別される。

 CALが5mm以上もしくはRBLが歯根長の1/3を超える場合にはステージはⅢかⅣとなる。それ未満の場合でも、2~3度の根分岐部病変が存在する場合にもステージはⅢかⅣとなる。根分岐部病変がないか、1度の場合でも、PDが5mmを超えるならステージはⅢかⅣとなる。PDが5mm以下の場合でも歯周炎による歯の喪失があればステージはⅢかⅣとなる。

 以上とは別に、歯周炎の範囲については、CALやRBLの存在する歯が全歯数の30%を超えるならば広汎型、超えないならば限局型、と診断する。

 次いで、上記のステージⅠもしくはⅡと診断された場合、RBLが歯根長の15%未満でCALが1~2mmであればステージⅠ、同15~33%で3~4mmであればステージⅡと確定。ステージⅢかⅣの場合、歯周炎による歯の喪失が4本未満、咬合域が10対合歯以上存在、咀嚼機能不全・歯の病的移動・フレアーアウト・歯槽堤の重度欠損がない場合にはステージⅢと確定。それ以外、すなわち歯周炎による歯の喪失が4本以上、咬合域が10対合歯未満、咀嚼機能不全歯の病的移動・フレアーアウト・歯槽堤の重度欠損がある場合にはステージⅣと確定。

 

4) 第四段階:グレード

 もし患者における以前の検査結果がある場合には、過去5年間に2mm以上の進行があればグレードC、2mm未満ならグレードB、進行がなければグレードAと判断する。喫煙や糖尿病といったリスクファクターがあればグレードは格上げする。1日10本以上の喫煙者やHbA1cが7.0以上の糖尿病患者ならグレードCに、1日10本未満の喫煙者や糖尿病患者でもHbA1cが7.0未満の場合はグレードBもしくはCに一段階格上げする。

 もし以前の検査結果がない場合、RBLを年齢で割った数字で歯槽骨吸収の進行程度を表し、最も歯槽骨吸収が進行している歯について、この数字が0.25~1.0であればグレードB、0.25未満であればグレードA、1.0より大きければグレードCと確定。上記と同様に、喫煙や糖尿病といったリスクファクターがあればグレードは格上げする。

 実際にこれまでの分類での歯周炎患者は新分類でどのように分類されるのであろうか。251人の歯周病患者を旧分類で分類した後、新分類に当てはめて解析することにより新分類が患者の特徴や病気の重症度、範囲、進行そして歯の喪失を反映しているか検討した研究によると、主な基準としてCALを用いた場合でもRBLを用いた場合でも、広汎型重度慢性歯周炎は、そのほとんどが広汎型ステージⅢもしくはステージⅣ、グレードBかCに分類され、広汎型侵襲性歯周炎は、広汎型ステージⅢもしくはステージⅣ、グレードCに分類された。さらに、治療中およびメインテナンス中の歯の喪失は、広汎型ステージⅣグレードC、広汎型ステージⅢグレードC、限局型の順に多く、新分類がよく機能していることが示唆されている。

 日本歯周病学会では、これまでに蓄積された臨床データとの連続性が失われることがないように配慮するため、暫間的な歯周炎分類として、「広汎型慢性歯周炎 ステージⅢ グレード B」、「限局型侵襲性歯周炎 ステージⅢ グレード  C」というように、2006年の分類システムに新分類を併記することをすでに決定している。

 

※ 症例 1

   初診時30歳の女性、主訴は前歯の自然脱落である。X線画像を見て、根尖に至る歯槽骨吸収が複数歯に認められ、歯周炎と判断される。歯周炎による歯の喪失は初診時には1本、6mm以上のPDや根尖に至る歯槽骨吸収が存在するが、残存歯の動揺度は1度で、重度の開咬ではあるが、咀嚼機能不全、歯の病的移動、フレアーアウト、歯槽堤の重度欠損は認めないため、ステージⅢと判断する。過去の歯周組織結果はなく、RBLは根尖に至るため100%、年齢で割った値は3.3となり、バイオフィルムの蓄積程度以上に組織破壊が起こっているため、グレードはCと判断する。さらに同患者は非喫煙者で非糖尿病患者である。また罹患歯は全歯数の30%以上。→診断 「広汎型侵襲性歯周炎 ステージⅢグレードC」とする。

 

※ 症例 2

   初診時49歳女性、主訴は前歯の動揺である。X線画像を見て、歯根長1/3を超える歯槽骨吸収が複数歯に認められ、歯周炎症例と判断される。歯周炎による歯の喪失はなく、6mm以上のPDが存在し、残存歯の動揺度は2度で、歯の病的移動を認めるため、ステージⅣと判断する。過去の歯周組織検査結果はなく、歯槽骨吸収について、#22が最も多く歯根長の72%(X線画像上で計測)、年齢で割った数値は1.46となり、グレードはCと判断する。同患者も非喫煙者で非糖尿病患者である。さらに罹患歯は全歯数の30%以上。→診断  「広汎型慢性歯周炎ステージⅣグレードC」とする。

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