« Science Evidence-Based Medicine (EBM) の実践を考える ② | トップページ | Science EVIdence-Based Medicine (EBM) の実践を考える ④ »

2020年2月14日 (金)

Science Evidence-Based Medicine(EBM)の実践を考える ③

続き:

 

6. まずは統合情報を検索する (STEP2)

 

 医学上量が倍増するのにかかる期間は、1950年時点においては「50年」と思われていた。しかし、1980年にはそれが7年、2010年には3.5年と、その時間はだんだん短くなり、2020年には「0.2年(73日)」と推定される。歯科領域においても"dentistry"をトピックスとした学術文献は23分に1本出版されているという。また最近では、"predatory journals(ハゲタカジャーナル)”も急増、"junk"なデータも急増している。このような状況下において、個別の論文を一つひとつ批判的に吟味することには苦労が伴う。

 Haynesらは医療情報を階層に分け、ピラミッドに図示いている。このピラミッドは情報の重要度をランク付けしたものではなく、編集度を階層で表したものだ。基盤となる第1層に個別研究が存在し、それらの要約や統合が上の層を成す。このピラミッドでは上部へいくほど情報として利用しやすいものとなるが、トピックスの詳細さやタイムリーさは薄まってしまう。

 医科領域では様々な一次情報媒体(UpToDateやDynaMed など)が利用可能であるため、”エビデンスの要約(第2層)”を用いて"usingモード”を実践することは容易かつ効果的である。しかしながら歯科領域において、現時点では有用な二次情報媒体は見当たらない。この状況を反映し、近年、歯科商業誌出版社から様々なエビデンス集が出版されている。これらのエビデンス集が批判的吟味に基づくものかを見極め、決して盲信的にならずに賢く利用すべきである。

 現時点において、歯科領域の検索はシステマティックレビュー(SR)から始めるとことが賢明であると筆者らは考える。SRとは、①これまでの研究に関する論文を系統的に検索し、②得られたそれぞれの論文のバイアスを評価し、③分析・統合を行って、④結果を示した総説だ。まずは、「PICOに合致したSRが存在するかどうか」を調べ、該当するSRが見つからない場合は個別研究の検索を行うのが良いであろう。

 

7. 実践的検索方法 (STEP2)

 

 検索においてはPubMed を用いる方法が王道とされてきた。PubMedを用いたSRの検索ではArticletypesniteにて "Systemtic Reviews" を選択して絞り込む(もしくはけんさくしきに AND systematic[sb]を加える)。また、近年PubMed に加えて Google Scholar の有用性も向上してきている。Google Scholar は引用数を重要視して検索結果が提示されることから、検索における”気の使い方”が上手であると評価されている。検索対象/アルゴリズムは公表されていないため、再現性が重要視されるSRでの検索での単独使用は推奨されないが、日常的な検索では問題にならない。

 Google Scholar の使用例は省略する。

 個別研究を検索する場合では、まずPICOで定式化した疑問のカテゴリーを明確にする必要がある。そして疑問のカテゴリーに合致した研究デザインのものを探す。例 「プラットフォームスイッチングの効果」であれば、カテゴリーは「治療」となるので最適な研究デザインは、ランダム化比較試験(randomized controlled trial : RCT)となる。

« Science Evidence-Based Medicine (EBM) の実践を考える ② | トップページ | Science EVIdence-Based Medicine (EBM) の実践を考える ④ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事