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2020年2月19日 (水)

Clinical 新しい歯周病の分類 ②

続き:

 

1. 歯肉炎の新分類

 

 ワークグループ①では歯肉炎についての議論が行われ、コンセンサスレポートその成果がまとめられた。特筆すべきは、初めて「健康な歯周組織」が定義されたこと。この診断は1歯単位および個人レベルにてなされ、さらに付着の喪失を伴わない歯周組織(intact periodontium)と付着の喪失を伴う歯周組織(reduced periodontium)の健康が区別された。即ち、1歯単位においては、「付着の伴わない歯周組織における健康」とは、プロービング時の出血(BOP)、歯肉の発赤、腫脹、自覚症状、付着や歯槽骨の喪失がない状態であり、歯槽頂はCEJから1~3mm根尖側にある。

 「付着の喪失を伴う歯周組織における健康」とは、BOP、歯肉の発赤、腫脹、自覚症状がなく、付着や歯槽骨の喪失がある状態。個人レベルにおいては、プロービングデプス(PD)が3mm以内で、BOP部位が10%未満の場合に健康と定義された。

 一方で、「歯周炎に罹患すると、患者は生涯(for life)歯周炎患者である」とし、治療が奏効した歯周治療後の患者における歯肉の健康については、PDが4mm以内(ただし4mmかつBOP陽性部位はないこと)で、BOP部位が10%未満の場合に「付着の喪失を伴うが、安定な歯周組織」と定義され、BOPが10%以上の場合には、歯周疾患者であるから歯肉炎ではなく、「歯周炎患者における歯肉の炎症状態」と定義された。歯周炎患者は歯周治療が奏効し、歯周組織が安定していたとしても、歯周組織が破壊されるリスクが高い状態にあるため、歯周炎を罹患したことのない患者と比べてより入念なメインテナンスと再評価が必要となることが強調されている。

 具体的には、メインテナンスに移行し病状が安定している患者でも、非歯周炎患者のように1年や半年といったメインテナンス間隔にすべきではないことが記されている。

 また、範囲については、BOP陽性部位が30%以上の場合には広汎型、それ未満なら限局型とする、これまでの分類が継承された。

 なお、BOP10%、30%、歯周治療後のPD 4mm以内といった閾値については、ワークグループでも様々な意見があったが、できるだけシンプルで客観的な指標にするため、議論の末にこのように設定された。

 BOPについては、歯周プローブの種類・圧・角度、歯肉の形状、服用薬剤、喫煙の有無等によって影響を受ける。歯周治療後のPDについては本ワークショップでは4mmかつBOPがないポケットについて安定している"closed pocket"としたが、4mmという閾値の設定には議論の余地があるだろう。今後よく規格化された疫学研究により、レベルの高いエビデンスが集積されることが望まれる。

 

 

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