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2020年2月15日 (土)

Science EVIdence-Based Medicine (EBM) の実践を考える ④

続き:

 

8. 個別研究の批判的吟味 (STEP3)

 

 情報には真実、バイアス、偶然が含まれる。臨床研究におけるバイアスとは、研究遂行上入り込んでしまう、真実を歪める要因となるなるものである。論文を批判的吟味する際にはどのようなバイアスが含まれているかを検証する必要がある。しかしながら、バイアスを直接特定する手法は確立していない。そこで研究方法の厳密性を評価することでバイアスが生じるリスクを評価する。これを「リスクオブバイアスの評価」と言い。「リスクオブバイアスが低いこと」は「内的妥当性が高いこと」と同等だ。リスクオブバイアス評価の方法は研究デザインによって異なり、RCT(リスクオブバイアス評価の7領域)を評価するのが一般的である。初学者向けのチェックシートが南郷によって作られており、これを用いると便利。

 リスクオブバイアスの評価が終われば、いよいよ論文の結果を読むことになる。論文の結果を読む際に気をつけなければいけないのは、統計学的有意差と倫理的有意差の違いを意識することである。研究では、はじめに「治療Aと治療Bの効果には違いない」という帰無仮説を設定する。そして、「研究によって得られた効果の違いが、帰無仮説の元で偶然発生した確率」を計算する。この確率をP値と呼ぶ。偶然に違いが出た確率(P値)が極めて小さければ(P<0.05)、「効果の違いは偶然ではない」と判定し、「治療Aと治療Bの効果には統計学的有意差がある」とする。論文では多くの場合、このP値が最終的に提示される。読者は「P値が小さければ小さいほど、効果の違いが大きい」と考えがちであるが、それは間違いである。群間の差が小さくてもP値が極めて小さい場合(例:プロービング深さ0.02mm改善、P<0.001)もあれば、差が大きくてもP値が0.05以上を示す場合(例:プロービング深さ6mm改善、P>0.05)もある。P値はあくまでも統計学的有意差を示す値ではないことに注意することが大切である。

 

9. システマティックレビューを読む (STEP3)

 

 SR であっても批判的吟味が必要がある。前述の南郷のサイトではSRのチェックシートも公開されているので使用を推奨する。

 SRと混同しやすい用語として「メタアナリシス」がある。メタアナリシスとは、複数の研究の結果を統計学的手法で定量的に統合する統計手法のことであり、近年のSRのほとんどでメタアナリシスが掲載されている。メタアナリシスの結果はフォレストプロットの形式で記載されていることが多く、各研究の結果と統合された結果の両方を視覚的に把握することが容易となる。

  中央―――略

 SRに採用した論文すべてが同じ結果を示すことは有り得ない。結果のばらつきはサンプルサイズの大小と偶然性によって必然的に生じる。このばらつきが統計学的に許容範囲のものであるかどうか検証するために、異質性の検定が行われる。論文毎のデータのばらつきがあまりにも大きければ得られたエビデンスの質は低いことになる。異質性の検定結果はフォレストプロットに記載されていることが多い。

 また、SRでは組み入れた各研究のリスクオブバイアスも併せて提示される。リスクオブバイアス評価の7領域におけるリスクオブバイアスが評価され、評価結果は「低(Low)」、「不明(Unclear)」、「高い(High)」の3つに分類される。この3つは、色分けされて提示している。

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