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2020年2月16日 (日)

Science Evidence-Based Medicine (EBM)の実践を考える ⑤

続き:

 

10. エビデンスの適用:STEP4

 

 批判的吟味を行ったエビデンスの内容が自身の患者に(「適応」は誤り)できるか(外的妥当性)を評価する。このSTEPは"doing"、"using"、"replicating"のどのモードであっても必要不可欠なステップであり、前述の4要素をすべて考慮して臨床決断を下す。

 「患者の病状」は、治療しない場合にアウトカムがどのくらい発生するかというベースラインリスクを考えて、「周囲を取り巻く環境」ではその治療が自院で行えるか、保険診療でカバーされるか、コストはどのくらいか等を考える。「患者の好みと行動」では患者の物語(narrative)を尊重し、あえて治療を選ばないという選択も受け入れるべきである(EBMとnarrative-based medicine:NBMは対立概念ではない)。そして「医療者の臨床経験」は、外科的手技を多く含む歯科医療では極めて重要な要素となることは明白である。

 

11. Evidence-Based Dentistry (EBD)の困難性

 

 EBMを体系化した先人のほとんどは総合診療医や家庭医である。彼らはあらゆる専門領域について網羅的に把握し、多岐にわたる選択肢の中から的確な診断を下す必要がある。ゆえに日常臨床において、情報の入手・管理・適用は極めて重要であり、彼らにとってEBMの必要性は高い。日本の歯科医師のほとんどは専門性を有しない総合医であると考えると、EBMとの親和性は決して低くないと考える。

 しかしながらEBDには、歯科領域特有の困難性があることもまた事実であろう。歯科疾患の多くが多因子性であることはその要因のひとつと言える。目の前の患者の病態や治療効果に影響を及ぼす因子は多岐にわたる。

 しかしながらEBMで取り扱う臨床疑問は特定の治療法・検査法の効果や、疾患発症への特定の因子である。このギャップを埋めるためにはSTEP1とSTEP4を丁寧に取り組むことが重要である。ATEP1において様々な要因が入り混ざった患者情報から着目したい要素を取り出し、Answerable questions を作成する。この際には設定したPICOのみに着目、他の要素は一切排除する。

 そして最後に一旦排除した他の因子と併せて再度考察する(STEP4)。医療情報を取り扱うSTEP2とSTEP3がEBMであるかのような誤解をしばしば受けるが、STEP1およびSTEP4こそが重要である。

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