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2020年3月 9日 (月)

内の目外の目 第207回 スポーツドリンクの飲み方について ③

続き:

歯科医師会等との連携の大切さ

 ドリンクの飲み方も含めて、科学的エビデンスに基づいたスポーツ選手の歯・口腔のコンディショニングとケアサポートは日本歯科医師会と日本スポーツ協会が協同養成する公認スポーツデンティストや日本スポーツ歯科医学会認定医等が中心となって、各地域の歯科医学会等との連携下で進めていくべきで、特にジュニア世代から強化育成していくことが大切である。

 専門的な知識定着や習慣化には一定期間を要するので、保護者や指導者の理解協力も得ながら、根気よく計画的に指導していく必要がある。例えば上野(筆者)も協力させていただいているが、埼玉県歯科医師会では県スポーツ協会と連携して、埼玉県ジュニアアスリート発掘育成事業(彩の国プラチナキッズ)の中の医・科学サポートプログラムで、ジュニアと保護者双方に対してスポーツ歯科指導を継続実施している。こうした取り組みを今後、各地で進める際の参考にしてください。

マウスリンスでパフォーマンス向上

 マウスリンスと聞くと、我々歯科医師は薬液洗口のことと思いがちであるが、そうではない。近年、糖質溶液を口に含むだけでパフォーマンスが向上する可能性が報じられ、スポーツ界で注目されている。2004年イギリスバーミンガム大学の Carter らが行った自転車タイムトライアル実験において、被験者に6.4%マルトデキストリン糖質溶液25mlを飲まずに5秒間すすいで吐き出すことを断続実施させたところ、タイムとパワー出力が有意に向上することを見い出した。効果の発現メカニズムは代謝系によるものでなく、口内レセプターを介した脳内報酬系に関わるものと考察されている。

 今のところ1時間以内の、中程度から高強度運動であれば1.5~11.6%のパフォーマンス向上が得られるとする報告がある一方で、異論を唱える論文もあり、完全証明されたわけでもないと思われる。しかし2016年米国とカナダの栄養士会、米国スポーツ医学会が共同で発表したポジションペーパーでは、45~75分の運動なら少量の糖質摂取が必要とし、その摂取法としてマウスリンスも含まれると明記した。因みに45分以内なら摂取不要、1~2.5時間の持久運動なら30~60g/h摂取、2.5~3時間以上の高強度持久運動なら90g/hとなっている。このように現場で取り入れる見られる以上、我々としては急ぎ糖質溶液マウスリンスによる口腔内環境への影響について調べておくべきであろう。

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