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2020年3月22日 (日)

グローバル・トレンドを読む ②

続き:

 

◆ 「ダイベストメント」で社会を変える

―― 近年、環境や人権に反する投融資は行わないという「ダイベストメント」という手法が注目されています。

目加田 対人地雷禁止条約が採択された1997年当時から、そうした産業に融資する金融機関の責任を問う声はありました。しかし条約には盛り込まれず、その後、2008年のクラスター爆弾禁止条約採択直後から、具体的な動きが生まれました。国際法で禁じられている兵器を製造する企業と金融機関との関係を可視化し、国会議員にも働きかけました。その結果日本でも、2010年10月、条約発効直後に、全国銀行協会が「クラスター爆弾の製造を使途とする与信は行なわない」という声明を出しました。大きな進歩でありましたが、この時点では、クラスター爆弾製造への融資は行なわないけれど、対象となる企業の別部門への融資を禁止するものではありませんでした。しかし同一の企業体なので、ひとたび融資されると、使途は見えにくくなります。

 世界的に見れば、国際法で禁止されている武器を製造する企業への融資自体が、到底認められないものとの考え方が次第に広まりこの10年の間にも多くの金融機関が手を引いている。ようやく流れが変わってきたと実感します。

 現在では、環境・社会・ガバナンス(ESG)に配慮した資金運用の動きが、欧州を中心に世界に広がっている。私たち市民も、自分たちの預金がどのように使われているかをチェックする責任がありますし、その自覚が、金融機関の行動様式を変えうるのです。これらの動きはまだ始まったばかりで、十分ではない。けれども、小さなところから声をあげ、オセロゲームの駒(石)を一つひとつひっくり返していくような取り組みが、とても重要である。

 市民社会の役割には、専門的な知識や経験を生かして具体的な政策に携わっていくことと、これらの声を広めていくことの両方があり、車の両輪として進めていく必要があります。両方がないと、独りよがりになってしまうのです。市民の支持は絶対に必要ですが、市民だけが声をあげていても、具体的に目に見える成果を出しにくく、成果が見えないと達成感もないので、「どうせ変えることはできない」という気持ちが広がり、市民の声がどんどん小さくなってしまう。

 海外では、国際機関や政府のパートナーとして、十分な経験と知識のあるNGOの人たちが重要な形で関わっています。日本では、「われわれ”霞ヶ関”が専門家なのだから、単なる市民は黙っていなさい」という、ある種の「上からの目線」がいまだにあります。もっと、お互いに分け隔てなく協力しなければ、問題の本質的な解決にはつながらないことは、現場の人間ならわかっています。たとえ政策を決定したところで、それを実施していくには市民社会の力が必要なのですから。

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