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2020年3月14日 (土)

Science 歯周病原細菌による血栓モデルからみた閉塞性動脈疾患ならびに静脈血栓の病態 ②

続き:

 

1. 歯周病と血管病変との関わり

 現在までに血管と血管関連疾患で、歯周病菌との関わりが説明されている病気はいろいろある。まず生死にかかわりの深い冠動脈閉塞などの疾患、脳卒中の原因となる頸動脈の粥状硬化部位、さらに腹部・胸部の大動脈瘤があり、やや危険なものとして四肢の粥状硬化症、バージャー病、下肢静脈瘤、間接的に関与すると思われる低体重児、糖尿病、関節リウマチ、ある種のがんなど多方面に及んでいる。

 検出された菌の種類から見ると、多少のばらつきがあるように見える。Aggregatibacter actinomycetem-comitans(A.a 菌)は冠動脈や大動脈、P.g菌は四肢動脈や静脈瘤といったボヤっとした差があるように思える。従って、何種類かの菌について研究を進める必要がある。また、すべてが血栓形成とそれによる虚血で説明できるかどうかも検討する必要がある。特に低体重児の出産は、胎盤内で血流低下を証明する必要がある。関節リウマチでは、サイトカインなど炎症物質の反応を異なった手法で証明する必要がある。

 

2. 歯周病菌血症の意義

 歯周病菌は歯周からリンパ管内を流れて、鎖骨上窩に至り、静脈角から静脈に入る。そして、上大静脈から肺をまわって心臓左心室にたどり着く。この間に、生きたまま血小板や単球に取り込まれると考えられる。血小板は歯周病菌の作用により凝集し、凝集塊を作る。その大きさは100μm(赤血球 7~8μm、毛細血管は5~20μm)ほどである。単球のほうは、菌を取り込んでも塊は作らない。そして、菌がいかに簡単に、末梢動脈から末梢静脈に毛細血管を通過して移動するかということは、臨床では当たり前のこととなっている。例えば、抜歯後にう蝕原因菌が心臓弁や動脈に取り付いて感染、増殖して、人が死に至るかもしれない事態になることはよく知られている。

 歯周病菌は、菌塊が血小板とともに末梢に飛んで、いわゆる微小塞栓症を起こすと考えられる。内皮が老化などで変性すれば、菌を含む単球(マクロファージ)が内皮に接着。さらには、毛細血管を通過して静脈に現れることは、通常の静脈血採血で動脈内の菌血症を証明することでも理解できる。歯磨きやフロッシングまたは抜歯などでも簡単に菌血症は起こるとされている。このことにより、菌に対する抗体値は上がり続けることになる。この自然免疫がどの程度歯周病の自然治癒に役立っているかは不明である。

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