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2020年3月21日 (土)

グローバル・トレンドを読む ①

目加田説子(中央大学総合政策学部教授)さんの対談文を「世界 1」より掲載する。コピーペー:

 

◆ 市民社会をめぐる二つの潮流

――いま各地の権威主義的な政権のもとでナショナリズムが強まる一方、グローバル化により生じた課題の多くは一国で解決不可能です。現在の最大の課題は何とお考えでしょうか。

目加田 国政政治をみるさいに、二つの大きな流れがあります。一つは、「リベラルな秩序」の力が著しく低下していることです。アメリカにおいてリベラル勢力が衰退し、影響力を落とす一方で、中国、ロシア、イスラエルなどが力を持ち始めています。日本国内でも、リベラル・デモクラシーの力の低下に加え、財政難などによって、福祉国家的な国家観に限界が生じ、ナショナリズムを背景とした保守化や、移民排斥、人種差別などの問題も生まれている。つまり、国際面でも、国内面でもリベラリズムのパワーダウンがあり、その結果、「法による支配」よりも、「人による支配」つまり、自分こそがルール、我々こそがファーストなのだという考え方が幅をきかせるようになった。

 私自身は、1990年代から「地雷廃絶日本キャンペーン」(JCBL)の創設メンバーとして対人地雷やクラスター爆弾を禁止する運動に取り組み、議員や官僚に働きかけてきましたが、当初、日米関係や防衛政策を理由に反対していた日本政府も、対人地雷禁止条約が採択された1997年に署名しました。冷戦終結後、「平和の配当」を活かしていろいろなことが実現できるというムードが広がっていた時代でした。しかしその後、2001年に9・11のアメリカ同時多発テロ事件が起こり、揺り戻しがありました。そうした潮流の中で前述したリベラル勢力の低下が進みました。

 もう一つの大きな流れは、国境を越えた市民の連携や、「ストリート・デモクラシー」と言われる街頭民主主義のめざましい成長です。決して一時的な現象ではなく、構造的な変化を起こす力を持っている。

 現代は「新冷戦」時代だという論客もいて、地政学的なアプローチで、力により問題解決をはかるしかないという意見も強いですが、私はそうは思いません。かっての冷戦は、全面核戦争のリスクをかけた闘いで、誰もがそれを危惧していた。けれども今は抑止力として脅しをかけることはあっても、核戦争を辞さないという考え方はもはや共有されていません。冷静に現状を見れば、交渉により問題解決をはかろうとする動きのほうがずっと強く働いています。市民の連帯の盛り上がりを見ても、もはや冷戦時代のような状況に戻ることはありえず、不可逆的な流れだと感じる。

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