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2020年3月29日 (日)

Science~緑茶由来カテキンを応用した新規骨再生材料開発~②

続き:

 

2. 植物由来物質と細胞外環境調節因子としてのポテンシャル

 地球上には約250,000種類の植物が存在し、その約15%の植物が研究対象として調べられている。

 

――(組織再生に影響を与えると思われる細胞外環境因子)――

炎症反応(急性炎症、慢性炎症、DAMPs、PAMPs)、細菌・ウイルス・カビなどの微生物、アレルゲン

酸化ストレス(活性酸素)、機械的刺激、免疫反応、浸透圧、生理活性効果のあるイオンの濃度変化、細胞老化(SASP)、栄養物の過不足、酸素濃度、pH、温度、液性因子

(成長因子、サイトカイン等)、細胞間相互作用、細胞外基質からの刺激、細胞外基質の機械的強度、細胞外基質の溶解性、電気刺激、光刺激、無機物、自己免疫反応、他

※  生体材料埋入時や機器を用いた介入時の刺激

   溶出イオン、材料の表面性状(表面電荷、ぬれ性、表面粗さ)、気孔率、気孔径、連通孔、溶解性、免疫応答、超音波刺激、電磁波刺激、他

 例えば、ポリフェノールの中でもフラボノイドの多くは、広く炎症や酸化作用の抑制効果を持つことが多い。タマネギやニンニクに含まれるN-アセチルシステインは、他に幹細胞保護作用、骨形成作用などを持ち、果物や野菜に多く含まれるカロテノイド群は免疫賦活効果を持つ。わさび、辛子などから抽出可能なアリルイソチオシアネートは抗菌効果を示し、トレハロースは生体成分構造の高次安定化や、浸透圧調節機能を持つことが知られている(他に、細胞が凍結される際の保護効果も広く知られている)。また、β-クリプトキサンチン、イソフラボン、ヘスペリジン等は、腫瘍壊死因子(TNF-a)などの炎症性サイトカインの抑制作用が報告されている。

 一方、近年廃材などからの抽出研究が進んでいるナノセルロースは、高い力学特性、透明性を持つことが知られており、すでに歯科応用への取り組みが進められている。以上のように、植物由来物質は多様な機能を持つ。そして、改めて調査してみると、抗酸化作用抗炎症、抗がん作用に言及している記述が圧倒的に多いことに気づく。これは、がん、炎症、抗酸化(アンチエイジング)の領域が注目されやすいからであり、他の機能がないということではないと思われる。今後、他の分野にも応用可能なように、細胞レベルでの様々な生理活性機能の解明が期待される。

 

3. 茶およびカテキンについて

 筆者らは、植物由来物質の中でも緑茶由来カテキンの一種類であるエピガロカテキンガレート(EGCG)に特に着目して研究を進めている。著者(本田)が所属する大阪歯科大学は、日本三大茶である宇治茶を産出する京都府和束町の近くに位置している。少し雑学的な話になるが、「茶」と「チャ」は厳密には意味が異なる。チャは、学名→カメリア・シネンシス[Camellia Sinensis (L) O. Kuntze]と呼ばれる「樹」を指しており、この樹の葉に様々な処理を施すことで、緑茶、ウーロン茶、プーアール茶など多様な「茶」が作られる。つまり、「茶」はチヤの樹の葉に加工を施した製品を指す。では、緑茶、ウーロン茶、紅茶、プーアール茶等の違いは何であろうか。それぞれは、チャの樹の葉の発効度合いの違いが、異なるお茶をもたらす。

 日本では緑茶が広く親しまれているが、中国などを訪れると発効度合いに応じて、白茶、黄茶、青茶、黒茶なども広くたしなまれている。例えば台湾の青茶(ウーロン茶)は、日本で一般的に飲まれている苦みの強いウーロン茶と異なり、とても香り高いウーロン茶である。産地により名前が異なるが、凍頂烏龍茶や、東方美人茶などは知名度も高く、もしチャンスがあればぜひ味わっていただきたい。

 さて、上記のように茶は発効度合いで異なる風味、香りを持つが、成分にも違いがあるのだろうか。答えはYesであり、発効度合いは内在するカテキンを変化させ、烏龍茶にはウーロンテアニンが、紅茶にはカテキンの二量体であるテアフラビンが、緑茶には緑茶特有のカテキンが多く含まれる。

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