« Report 2020 国民健康・栄養調査 ③ | トップページ | Science 歯周病原細菌による血栓モデルからみた閉塞性動脈疾患ならびに静脈血栓の病態 ② »

2020年3月13日 (金)

Science 歯周病原細菌による血栓モデルからみた閉塞性動脈疾患ならびに静脈血栓の病態 ①

岩井武尚(医療法人慶友会つくば血管センター長、認定NPO法人バージャー病研究所長、東京医科歯科大学名誉教授)さんの医学小論よりコピーペー:

 

はじめに

 

 歯周病は主要な口腔内疾患であるが、それに対する知識は歯科医師に比べて、一般の内科や外科の医師の知識ははるかに少ないといえよう。また、それを全身疾患と結びつけて考えようとする者は、さらに少ないこと思われる。従って、「歯磨きなど一般的な日常の行動が、血管病変の予防に役立っている」などとは考えてもいない医療関係者が少なくない。

 血管外科を仕事にしていると、患者の口腔内環境すなわち、う蝕、歯周病、歯の欠損が気になる。特に、バージャー病では、若くして歯がない、歯がぐらつく、歯肉出血、口臭など明らかに口の衛生状態が悪いと実感していた。20C.末に開発された PCR (Polymerase Chain Reaction)法により、2000年初め頃から血管病変から次々と歯周病原細菌(以下、歯周病菌)DNAが検出された。

 歯周病以外にもクラミジア肺炎菌、ピロリ菌、サイトメガロウイルスなどが脈管から検出され、あたかもそれが原因と深く結びついているかの如く議論された。これらの菌は常在菌で、ブドウ球菌やサルモネラ菌などのように心臓や血管壁に取り付いて感染し、増殖することはなく、一見身体への危険はないか少ないと考えられていたが、研究は滞りながらもゆっくり進んでいった。

 しかしながら、歯周病菌と血管病を結びつけるには、どのようにその歯、またはウイルスが運ばれるのか?運ばれた部位で菌は生きていられるのか?脈管末梢にたどり着いたとしてもどのくらいの間生きていられるのか?繁殖はしないか?閉塞性変化が生じた場合どのような細胞が生まれ、どのように内弾性板などが影響を受けるか?免疫細胞はどの時期に、どの場所に出現するのか?などを明らかにしていく必要がある。

 その脈管から見つかった歯の中でも歯周病菌は種類が多く、もしその何種類かが同じようなメカニズムで血管に作用すれば強力となり、重大な病変が誕生することは明らかである。そこで、Porphyromonas gingivalis (P.g 菌)というような代表的な歯周病菌でまず当たりをつけるしか、動物実験の始まりはない。また、動物の四肢末梢に病変ができても、動物の小さい手・足では十分な検鏡検査はできない。

« Report 2020 国民健康・栄養調査 ③ | トップページ | Science 歯周病原細菌による血栓モデルからみた閉塞性動脈疾患ならびに静脈血栓の病態 ② »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事