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2020年4月12日 (日)

進行する「三権分立」の空洞化 ④

続き:

空洞化する「三権分立」

 さらに「三権分立」の一角を担う司法の分野で、まだ可視化されていない司法権力が、実は「安倍コート」である。

 2019年10月、最高裁判事に新たに岡村和美元消費者庁長官が就き、これにより全員安倍内閣の任命による最高裁判事官となった。事実上の「安倍コート」が出現した。

 最高裁裁判官15名のうち、その出身枠は職業裁判官6、弁護士4、学識経験者(行政官出身)5と慣例化され、これは「歴代内閣は最高裁長官の意見を尊重し、内閣の任命権と司法の独立を調和させるという考え方」(泉徳治元最高裁判事『一歩前へ出る司法』日本評論社)によるものだという。

 岡村氏も、70歳定年退官の山本庸幸元内閣法制局長官の後任として、行政官枠が踏襲された形だが、岡村氏の前職は、法務省人権擁護局長、その前は検事職が長く、さらに遡るとモルガン・スタンレー証券(現・三菱UFJモルガン・スタンレー証券)法務部長という、異例の経歴の持ち主。司法界では、「名ばかり行政枠」との批判と同時に、「三権分立どころか、司法の独立が維持されるのか」との懸念が一向に払拭されない。

 というのも、従来、日弁連(日本弁護士連合会)の推薦と、”阿吽の呼吸”で人選されてきた弁護士枠も、安倍内閣になってからは、2016年に首相の”腹心の友”加計孝太郎氏が理事長を務める加計学園監事だった木澤克之氏が任命され、2017年には日弁連推薦枠外から突然、任命直前に刑法学者から弁護士登録をした山口厚氏が、さらに2018年の宮崎裕子、19年の草野畊一の両氏は四大法律事務所在籍と、人権派弁護士に代わって、安倍内閣のアベノミクスや経済成長戦略を投影するビジネス法務系弁護士の台頭で、大きく変質しているからである。

 戦後政治は、議院内閣制で選出された首相がトップリーダーとなるため、「行政国家」の肥大化が問題視されてきた。

 しかも「安倍一強」時代は、政党政治が破綻した立法(国会)、さらに司法までもがここで指摘したように、自壊する有り様。戦前の反省から国家権力の暴走に歯止めを掛けるはずの「三権分立」という民主主義の知恵も、司法の自壊で、いまや完全に空洞化し、”権威”なき権力機構としての国家が現出しそうな時代状況だ。それが、ポスト安倍、すなわち2020年代の「秩序感覚」に他ならない。

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