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2020年4月20日 (月)

Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ⑧

続き:

10. 回復期リハビリテーション病院での歯科衛生士

 日本リハ病院・施設協会の医科歯科連携推進委員会では、回復期リハ病院に勤務する歯科衛生士により活躍してもらう活動も行っている。2016年に当協会会員施設で、歯科医院や施設を除き歯科衛生士が勤務している病院を対象にアンケート調査を実施した。104病院から回答、歯科衛生士が病棟専従で勤務しているのは23病院で、約2割だった。しかし、歯科衛生士が病棟専従の場合、歯科衛生士の摂食嚥下障害訓練実施、チーム医療参加、NST (Nutrition Support Team : 栄養サポートチーム)参加が有意に多かった。これより、歯科衛生士が病棟専従で勤務すると医科と協働しやすいことが示唆された。

 回復期リハ病棟の歯科衛生士配置に関してはエビデンスがある。1つは熊本リハビリテーション病院の歯科衛生士・白石 愛氏の論文で、回復期リハ病棟で歯科衛生士が介入することで、口腔状態、摂食嚥下機能、栄養状態だけでなく、ADL、自宅退院、死亡率も有意に改善した。

 もう1つ日本リハビリテーション栄養データベースを用いた他施設研究で、回復期リハ病棟に歯科衛生士の配置がある場合、歯科衛生士の配置がない場合と比較して、摂食嚥下機能、ADL、自宅退院が有意に改善した。また、回復期リハ病棟の入院患者で口腔状態が悪いと、ADL、自宅退院、死亡率、在院日数が悪いことも明らかとなった。

 これらより、歯科衛生士は回復期リハ病院と県歯科医師会の医科歯科連携の要で、大切な存在であると考えている。日本リハ病院・施設協会の医科歯科連携推進委員会は、協会会員施設に勤務する歯科衛生士向けの研修会を開催し、歯科衛生士同士でのネットワーク作りを推進している。

 今後は診療報酬面で、回復期リハビリ病棟に病棟専任の歯科衛生士がいて、歯科医師との緊密な連携の下で医科歯科連携を行った場合に、一定の評価が得られることを目指している。具体的には、①回復期リハビリ病棟に入院している口腔状態の悪い患者の口腔衛生・口腔機能の改善に関して、歯科診療を依頼し、回復期リハビリ病棟と連携している歯科医師もしくは回復期リハ病棟のある病院に勤務する歯科医師と、回復期リハ病棟専任の歯科衛生士が関わる場合、および②退院後も口腔衛生・口腔機能向上の継続的な支援が行えるよう、かかりつけ歯科医師へ退院時に情報提供が行われている場合に、病棟専任の歯科衛生士のいる回復期リハ病棟および回復期リハ病棟と連携している歯科医師を評価してほしいと若林は考えている。

おわりに

 医科歯科連携の重要性、リハ栄養、リハ栄養ケアプロセス、サルコペニア、サルコペニアの摂食嚥下障害、日本リハ病院・施設協会での医科歯科連携推進委員会の取り組み、回復期リハ病院での歯科衛生士について解説した。超高齢社会の日本で、できる限り高齢者や障がい者の生活機能やQOLを高くするためには、リハ栄養の視点と医科歯科連携の推進が必要。本稿を契機に日本歯科医師会と日本リハ病院・施設協会の医科歯科連携推進委員会で協働して、今後、医科歯科連携インストラクター講習会を共催できることなどを期待している。

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