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2020年4月 9日 (木)

進行する「三権分立」の空洞化 ①

「世界 5」には、川邊克朗(ジャーナリスト)さんは2月に定年退官予定だった東京高検検事長の黒川弘務氏について、8月までの定年延長が閣議決定された。政権に近い黒川氏を次期検事総長に就任させる思惑がみえる。安倍政権の恣意的な司法への介入は何をもたらしているか。コピーペー:

突然の定年延長

 司法の自壊が深く潜行していることに、どれほどの人が気付いているだろうか。

 図らずも法務・検察のトップでかつ、日本最強の捜査機関と評されてきた特捜検察を指揮する次期検事総長人事をめぐって、いま通常国会で物議を醸しているが、これはその一例に過ぎない。

 検察ナンバー2の黒川弘務東京高検検事長(S56年司法修習生。以下、カッコ内年号同じ)は、2月7日に定年退官する予定だったが、突然8月7日まで定年延長するという安倍首相官邸の”奇策”が強行され、検事総長への道が開かれたためである。またもや安倍内閣の霞が関人事への介入が罷り通ったのである。

 その”余人をもって代えがたし”とされた黒川氏は法務省の官房長官時代、国際公約となっていた、テロ対策のための「共謀罪」を盛り込んだ組織犯罪処罰法の改正に3度も失敗し、いったんは「官邸から、いわばA級戦犯の烙印を押された」(元法相)。しかしこの間、安倍内閣の現職閣僚の「政治とカネの問題」が相次いで露見したことを逆手に官邸に取り入り、内閣の政策の要になっていた甘利明元TPP担当相(現自民党税制調査会長)が絡んだ利得斡旋疑惑に続き、東芝不正会計事件でも特捜捜査を封じた。そうした論功行賞人事で、2016年9月本命視されていた同期のライバルの林真琴刑事局長を抑え、事務次官の座を射止めた。

 東芝に事件で”初めに「立件せず」ありき”へと主導したのが、原発事業で再生を目指す東芝を後押しする原発再稼働推進派の経産省・安倍官邸の意向を受けた黒川氏だったという。本来なら手垢まみれとなった法案を、「共謀罪」から「テロ等準備罪」へ衣替えさせて、4度目の改正を強行しようとしたのも、法案に反対の与党・公明党に睨みを利かす菅義偉官房長官という、大きな後ろ盾があったから。そしてこの時、「性犯罪の厳格化を盛り込んだ刑法改正をも手柄に、将来の検事総長にも色気を見せ始めている」(法務省幹部)と聞いた。

 検事総長をトップとする法務・検察は戦後、事件捜査至上主義の「特捜検事派」と、事務次官経験者ら”赤レンガ”と揶揄される「法務官僚派」が熾烈な派閥抗争を繰り広げてきた。だが、2010年の「郵便不正事件」に絡んだ大阪地検特捜部による証拠改竄事件により特捜派は威信を大きく失楽させ、以後、小津博司(47年)、大野恒太郎(49年)、西川克行(52年)、現在の稲田伸夫(54年)と、法務官僚派が4代続けて検事総長に就いている。しかも、この間、特捜検察内では捜査能力の低下と事なかれ主義がはびこり、特捜検事としてリクルート事件(1988年)や佐川急便事件(1992年)などの政界捜査で辣腕を振るい、証券取引等監視委員会の委員長に転じてからは、10年かけてプロの捜査集団である「市場検察」へと変貌させた佐渡賢一氏(44年)が追求してきた「正義」とは著しい不平等を見せている。

 

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