« Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ③ | トップページ | Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ⑤ »

2020年4月16日 (木)

Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ④

続き:

4. サルコペニアとは

 サルコペニアは、転倒、骨折、身体機能障害および死亡など不良の転帰の増加に関連しうる。進行性および全身性の骨格筋疾患である。2019/10/24、アジアのワーキンググループ(Asian Working Group for Sarcopenia : AWGS)によって、「AWGS2019」が発表された。AWGS2019では、筋肉量低下を認めて、筋力低下もしくは身体機能低下を認める場合にサルコペニアとしている。

 AWGS2019では、2つのセッティングに分けてサルコペニアの診断方法が作成された。1つはプライマリヘルスケアもしくは地域で予防的なサービスを行うセッティング、もう1つは入院などのヘルスケアと臨床研究のセッティングである。歯科医師の多くは診療所に勤務しているため、ここでは前者のセッティングについて紹介する。

 診断の流れは、症例発見→評価→介入となっている。症例発見には、下腿周囲長、SARC-F(サルコペニアのスクーリニング法)、SARC-CalF(下腿周囲長+SARC-F)の3項目がある。下腿周囲長は、利き足でないほうの下腿で最も太い場所の周径をメジャーで計測する。下腿周囲長が男性34cm未満、女性33cm未満の場合に次の評価を行う。SARC-F(あとで記述)は、サルコペニアの自記式スクリーニング法であり、10点満点のうち4点以上であれば次の評価を行う。SARC-CalF(下腿周囲長がカットオフ値未満の場合、SARC-Fに10点を加算する)が11点以上であれば次の評価を行う。歯科診療所で一番容易な症例発見は、下腿周囲長の測定であろう。

 評価では、筋力評価として握力測定、身体機能評価として5回椅子立ち上がりテストを行う。握力は座位で肘を90度に屈曲した状態で左右2回ずつ測定、最大値を小数点以下1桁まで評価。握力が男性で28kg未満、女性で18kg未満であれば、筋力低下ありと判定。なお2014年に発表されたAWGSでは、男性の握力のカットオフ値は26kg未満であり、AWGS2019では変更となっている。5回椅子立ち上がりテストは、高さが40cmの椅子を使用して、座位から直立位を経て座位に戻るまでを1回として、5回行うのに要する時間を評価する。5回椅子立ち上がりテストが12秒以上であれば、身体機能低下ありと判定。

 下腿周囲長が男性34cm未満、女性33cm未満で、握力低下もしくは5回椅子立ち上がりテストが12秒以上の場合には、Possible sarcopenia(サルコペニアの可能性あり)と診断。この時点で、歯科でサルコペニアに対する介入を行ってもよいし、医科に併診して詳細な診察、診断を受けてもらってもよい。歯科診療所で高齢者や障がい者を診察する場合には、下腿周囲長、握力、5回椅子立ち上がりテストを評価して、Possible sarcopeniaの有無を診断してほしい。

 SARC-F  10点満点のうち4点以上であれば、サルコペニアが疑われる。

            質  問             回  答
 4.5kgの荷物の持ち運びは、どの程度困難ですか?  全く困難でない:0点 少し困難:1点 出来ない:2点
 部屋の端~端迄の歩行移動は、どの程度困難か?   全然:0点 幾分か困難:1点 出来ない:2点
 椅子やベッドからの移動は、どの程度困難か?  全然平気:0点 いくらか困難:1点 出来ない:2点
 階段10段を上ることは、どの程度困難か?  全然平気:0点 いくらか困難:1点 出来ない :2点
 過去1年で何度転倒しましたか?  ない :0点  1~3回 :1点  4回以上 :2点

« Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ③ | トップページ | Clinical リハビリテーション栄養における医科歯科連携の重要性 ⑤ »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事