Report 2020 風しん・麻しん最前線 ③
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一方、風しんは2018年7月以降患者が急増しており、国立感染症研究所の「風疹流行に関する緊急情報」によれば、2018年は2946人、2019年は2306人の患者が報告。風しんは成人が発症すると重症化することが多いのだが、現在の流行の中心は40歳代の男性だ。
実は1962/04/02~1974/04/01までの間に生まれた(2020年4月時点で41歳~58歳)男性は、風しんの予防接種を公的に1回もなかったため、この集団の抗体保有率は79.6%しかない。
公衆衛生上は集団の抗体保有率が80~85%以上ないと感染症の蔓延を抑えることができないとされる。そこで政府はこの世代の男性を対象に、抗体検査およびワクチンが無料で受けられるクーポン券を送付するなど「風しんの追加的対策」を進め、2020年7月にはこの世代の男性の抗体保有率を85%以上(日本全体の抗体保有率は約93%)に、2021年度末までに同90%以上(同94%)に引き上げようとしている。
しかし、2019年11月時点でクーポン券を使って抗体検査を受けた人は約109万人(対象の16.1%)に留まっており、厚労省は2020/01/31、に「風しん対策(抗体検査)の実施率の向上策について」とする通知を発出して、対策の推進への協力を求めている。
※ 風しん・麻しんとの闘いも楽観はできぬ。
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