Report 2020 高齢者のがん薬物療法 ③
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国際老年腫瘍学会は高齢がん患者に最善の治療法を選択するために「高齢者機能評価」を行うことを推奨している。これは、がんや疾患そのものの評価に加えて、身体機能、認知機能、多剤服用、栄養状態、社会的要素、家庭環境などを一定の評価方法で測定する手法である。前の日本のガイドラインでも、総論の冒頭(CQ1)で、高齢者機能評価の実施を推奨(B)している。
こうした現状を背景に、九州がんセンターでは国内初となる「老年腫瘍科」を2018年に設置して、高齢がん患者の治療のサポートに取り組んでいる。「老年腫瘍科」では院内の各主科から高齢がん患者のコンサルテーションを受けると、「高齢者機能評価」を行ってがん治療に伴う心身への負担に対する予備能力等を評価して治療の選択を助言。
評価の結果によっては、手術やがん薬物治療などのがん治療はせず、症状緩和の対症療法が患者の QOL を改善する最適治療になる場合もあるという。
増える高齢がん患者の治療にどう臨むべきか。まだ知見が不十分とはいえ、ガイドラインとして臨床の方向性が示された意義は大きい。
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