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2020年6月 4日 (木)

「人間と科学」第312回 体と心の5億年(2)—脳科学者 アントニオ・R・ダマシオ ①

布施 英利(解剖学者・美術批評家)さんの「体と心の5億年」テーマの連載コピーペー:

 ふつう、意識というのは”脳”にあると考えられていて、それはその通りなのだが、三木(第1回に)はそれとは別に、内臓に、”心”というべき働きがあると考えた。我々は複雑な心を持って生きているが、そのすべてを脳が生み出しているわけではない。それどころか、心の根幹は、内臓の働きに拠っている。そういう考えが、三木成夫の世界。

 さて、今回は神経科学者・心理学者・脳科学者のアントニオ・R・ダマシオである。1944年、ポルトガルで生まれたダマシオは、やがてアメリカを拠点に研究活動をし、その著『デカルトの誤り』(1994)は世界的なベストセラーになった。今回、ダマシオを取り上げることにしたのは、ダマシオの研究・思想がどのようなものか?以下では、彼の主著である『デカルトの誤り』を読むことで話を進めていきたい。

 ダマシオの主張の核心にあるのは「ソマティック・マーカー仮説」というものだ。脳は、ソマティックつまり身体からの強い刻印と関わりがあり、「脳が生み出す意識や心には、身体との関係が不可欠であるという考え(=仮説)」だ。まさに、三木成夫げ言う「内臓の働きと心」というテーマそのものである。

 ソマティック・マーカー仮説を理解するには、その前にいくつかのダマシオ特有の用語を知らなければならない。まずは「情動(emotions)」と「感情(feelings)」の違いだ。ふつう、この二つの用語は、きちんと分けて考えられていない。日常での用語だけでなく、研究者も、その意味を厳密に定義していないことも多い。しかしダマシオは、情動と感情を全く別のものと考える。

 まず情動だが、一般的に考えられているように「喜び、悲しみ、恐れ、怒り、嫌悪」などである。これらは「身体状態反応」で、つまり情動は身体から生じるものと考える。

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