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2020年6月19日 (金)

スーパーシティ構想と国家戦略特区 ②

続き:

 スーパーシティ構想とは

 こうした中、政府が国家戦略特区のニュープランとして大々的に打ち出したのがスーパーシティ構想である。2018年10月、「スーパーシティ構想の実現に向けた有識者懇談会」(座長は竹中平蔵氏)が設置され、5回の会議が持たれた上で、2019年2月に「最終報告」がまとめられた。

 スーパーシティ構想とは、「AI(人工知能)やビッグデータを活用し、社会の在り方を根本から変えるような最先端の『丸ごと未来都市』を、複数の規制を同時に緩和してつくる」というもの。その「実証実験」の場がスーパーシティに選定される自治体となる。座長の竹中氏は、自治体が強い権限を持つという意味で、スーパーシティを「ミニ独立政府」とまで言い切る。

 スーパーシティ事業の核となるのは、データである。スマホが必需品となり、AIはすでに多くの産業・社会の現場で利用されている。SNS やネットショッピングなどで私たちが提供する個人情報は、プラットフォーマー(Google , Amazon など)に蓄積され、ビジネスに利用されている。同時に、国・自治体も公的サービスを実施する上で、様々な個人情報を保有している。

 これら個別に収集・管理されているデータを一元化し、多様な住民サービスに活用することがスーパーシティ構想の核心だ。同時に、AI等の研究開発・実用面でアメリカ・中国に劣後する日本にとって、この分野で企業育成するという産業政策的な目的もある。

 具体的には、「自動走行」「ドローンでの自動配送」「キャッシュレス決済」「行政サービスの IT 化(電子政府化)」「オンライン(遠隔)診療」「オンライン教育(授業)」「エネルギー、ごみ、水道などのスマートシステム」「防犯・安全のためのロボット監視」など、多くのメニューが例示され、このうち少なくとも 5 つの領域を同時に行なうことがスーパーシティの要件とされている。

 当然、日本の現行法制度のもとでは多くの規制があるため、これらはtだちに実行できない。これまで国家戦略特区でも個別メニューの規制緩和はなされてきたが、それ以上のスピードと規模で規制を取り払おうという意図なのだ。

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