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2020年6月26日 (金)

スーパーシティ構想と国家戦略特区 ⑥

続き:

 地域で市民のチェックと参画を

 スーパーシティ構想を目指す国家戦略特区法の改正案は、新型コロナウィルス対応の陰で、今国会で粛々と可決される可能性が高い。そうすれば今後、様々な自治体が名乗りをあげていくだろう。知らないうちに自分の住む町が「規制緩和の実証実験場」となっていたという事態にならないよう、自治体の動きをチェックしてほしい。

 新たな技術を暮らしや地域に取り入れ、課題を解決していくことにはもちろん一定の意義と効果がある。問題は、それが住民の実態やニーズをふまえた上でボトムアップで提案され、運用や責任についても自治体・議会・住民が了解して進められている点である。特に自治体による住民サービスについては、公平・公正なあり方が求められる。

 残念ながら、現在のスーパーシティ構想の中でこうした住民自治や民主主義に基づく決定や運用が保証されているとは到底思えない。「スーパーシティ」や「地方創生」という名もとで自治体が競争に駆り立てられ、終わってみれば利益は東京あるいは一部の利害関係者に還流されていくという悪循環は断ち切らなければならない。

 私たち自身に問われるのは、どのような技術を導入するにせよ、地域や個人へのリスクや負の側面を理解し、議論する空間を広げていくことだ。科学技術イノベーションやデジタル経済は、便利さや快適さと同時に、生命観、倫理、権利、社会の寛容性など重要な価値観との相克を伴う。

 地域社会の中で、それらをどのように利用していくべきか、どのような法規制が適切なのかを、私たち自身が提案できれば、住民主体のまちづくりが実現できるであろうし、自治も大きく発展していくのではないだろうか。

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