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2020年7月10日 (金)

アムネスティ通信――コロナとの闘いと権力拡大

雑誌「世界 7」より記載。コピーペー:

 新型コロナウィルス対策の名の下、人権を蔑ろにする政策を正当化している国がある。例えばハンガリー。3月30日、ハンガリー議会は非常事態宣言での首相の権限の拡大を可能にする法案を採択した。オルバン政権は感染拡大防止としてすでに非常事態を宣言していたが、当面は15日間で、延長には議会の承認が必要とされていた。しかし、新法により今後はその承認が不要となる。議会のチェック機能が働くなり、オルバン政権は人権を制限する自由裁量権を、事実上持つことになる。

 同法ではまた、新型コロナとの闘いをさまたげるような「フェイクニュース」を流した場合、最大で5年の禁固刑を科すとしており、政府に批判的なメディアや個人への圧力だと非難されている。

 オルバン政権は発足以来、社会から排除された人びとへの憎悪を煽り、政権批判の声を封じ込めるなど、人権状況を後退させてきた。それを考えると、こうした懸念が現実のものになる恐れは、十分ある。

 米国では3月、環境保護庁が、コロナの大流行を理由に環境法に基づく規制の執行を無期限に停止すると発表した。米政権は環境規制を骨抜きにしようと躍起になってきたが、コロナ危機を巧妙に利用した形だ。環境法に基づく各種規制がなければ、環境汚染が悪化して、その影響で多数の米市民が健康を損なう恐れがある。

 また同月、米政府はメキシコ、カナダとの両国境を封鎖した。必要不可欠な移動以外は認めず、難民認定申請も受理を停止。この措置は30日間の予定だったが、4月に延長され、5月には無期限にする動きが報じられている。コロナ危機に乗じて、移民制限という批判の多かった公約を実現しようとしているとのそしりは免れない。

 一方、複数の国が、市民の移動状況の把握に携帯電話の位置情報を利用している。匿名化や集約化された情報ではなく、GPSによる感染者の追跡を許可している国もある。感染拡大防止には有効かもしれないが、プライバシー侵害への懸念は深刻だ。

 テロ対策で導入された英米の大規模監視を見ればわかるように、一端、監視体制が整い、監視能力が整ってしまうと、それは容易に日常となってしまう。

 市民の命、健康、暮らしを守るため、政府には強力なリーダーシップ、断固たる行動力が必要である。しかし、危機に際していったん手にした権限を、政府は、往々にして手放そうとしない。それが歴史の教訓である。

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