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2020年7月 7日 (火)

Clinical 「低ホスファターゼ症」という病気とは? ⑤

続き:

6. HPPにおける医科歯科連携

 HPPを歯科から早期発見するためには、歯科医に対するこの疾患の啓発活動と、医科歯科連携体制の構築が重要。

 当科では、HPPに関する説明資料の配布、講演会、雑誌等への解説の掲載などを通して、歯科医、歯科衛生士といった歯科医療関係者のみならず、保護者などの一般の方々にもHPPについての啓発活動を行ってきた。その結果、地域の歯科医院から当科への乳歯早期脱落症例の紹介が増加している。

 そして、当科で精査を行い、HPPを疑う所見を認めた場合に本学医学部附属病院小児科を受診いただいている。現在、HPP患児23名(男児10名、女児13名)が当科を受診このうち9名が、乳歯の早期脱落のため、かかりつけ歯科医から当科へ紹介いただいたことでHPPの診断に至った。7名は歯限局型であったが、2名はすでに成長発達に問題を認める小児型であった。また、地域の歯科医師会の先生方のご尽力で、1歳6か月児や3歳児歯科健康診査の際に乳歯早期脱落を診査する項目が追加され、HPPが歯科領域からスクリーニング可能となった地域も増加してきている。

 歯学部・歯科大学の附属病院がある地域におけるHPPの医科歯科連携は、かかりつけ歯科医から歯学部附属病院小児歯科を紹介し、必要に応じて医学部・医科大学附属病院小児科で診断を受けていただくという流れになる。本学では医学部附属病院小児科の腎・骨代謝部門という小児の骨の病気の専門家に精査依頼している。一方で、歯学部・歯科大学附属病院が近くにない地域では、HPPの医科歯科連携体制の構築が困難である。こんな場合には、かかりつけ歯科医から基幹病院や医学部・医科大学附属病院の小児科または地域の小児科をご紹介いただいて診査を受けていただくことになる。

おわりに

 小児に対する日常歯科臨床や歯科健診の現場では、これまではう蝕や歯列咬合の診査に重点が置かれてきた。最近になって、「乳歯早期脱落」という歯科症状がHPPの早期発見の重要な手がかりとなる知見が蓄積されてきている。そこで、今後は乳歯の早期喪失に対しても診査を行う体制が構築されることを期待したい。また、HPPが謳われる症例に遭遇した場合、スムーズに医科領域の機関と連携をとって全身的な診査を行えるようにすることが重要である。そのために、地域の医科歯科連携体制をあらかじめ構築していく必要があると考えられる。

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