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2020年8月29日 (土)

コロナ危機は生態系からの警告である ①

湯本貴和(京都大学霊長類研究所所長・京都大学社会生態部門教授)さんの論文を載せる コピーペー:

< はじめに >

 新型コロナコロナウィルス感染症は、我々の日常を一時的には大きく変化させた。ごく最近 Nature Climate Change に発表された論文では、2020年、世界中の都市がロックダウンしてから4月初旬までの1日あたりの二酸化炭素排出量は、2019年の平均値に比べて最大17%減となったことが明らかになった。

 米国や英国などで、陸上輸送による排出量が1/2~1/3にまで減少した。航空機の運用は劇的に減ったが、もともと航空業は世界の二酸化炭素排出量のうち3%を占めるにすぎない。製造業では、中国の石炭生産や米国の鉄鋼生産が30~40%減少したことによる影響が大きい。この論文以外でも、中国やインドで大気汚染が著しく改善したニュースが届いている。

 しかしながら、同時に確認しなければならないのは、最も大きく減少した日をとっても、二酸化炭素排出量で換算すると、2006年の水準に戻ったにすぎないことだ。 Stay Home で在宅勤務になっても、事業所での電力使用が家庭に移行しただけである。日本でも学校休業や通勤自粛で、家庭学習やテレワークは盛んになったため、一日中ネット漬けになって、宅配サービスに依存することも増えた。オンラインによる活動が主でも確実にエネルギーは消費されており、その分、二酸化炭素排出量は何らかの形で増加する。地球温暖化は今世紀ますます顕在化しており、台風の大型化や森林火災などの災害のリスクを高めている。気候危機の進行は、世界中の活動が停止したように見えた今回のコロナ禍でもストップしていない。

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