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2020年8月 9日 (日)

「内の目 外の目」 第212回 第6の味覚~脂肪酸の味覚と健康のつながり~ ②

続き:

◎ 味覚とホメオスタシス

 脂肪酸神経で栄養素を選び取っている可能性あるが、実際言葉にして表現できないような味覚にどんな役割があるのだろうか。忘れてはいけないのは消化管とリンクした摂食調節である。

 「脳相反応」は食物を飲み込む以前の感覚(視覚、嗅覚、口腔感覚、味覚)による消化管反応やホルモン分泌だが、脂肪酸に関しても脳相反応の研究が増えてきている。口腔内の刺激 (sham-feeding) のみで血糖の上昇を介さずインスリン分泌、血中トリアシルグリセロール濃度上昇を起こすことや、タンパク質や脂肪による刺激で強力な Pancreatic polypeptide (PP) の脳相分泌を起こすことが確認されている。これらは満腹感につながり、適切な食調節には欠かせない。

 一方、摂食促進胃ペプチドのグレリンは、口腔内の脂肪刺激後に摂取した場合のほうが、口腔感覚がない場合と比べて分泌が少なく、食欲を抑えるためにも、口腔内の脂肪味覚は重要と言える。

 また、高脂肪食 sham-feeding による刺激で、それを摂食した時と同様のエネルギー消費が1時間後に見られたという報告もある。

 以上を前提に、もし味覚が鈍感になったら、ということを考えてみよう。普段空腹、食事、満腹の流れの中で、美味しさを期待する感情・感性の側面がある。我々は塩分が薄いと醬油をかけるように、油に関しても少ないと物足りなさを感じ、マヨネーズ、乳製品や卵を足し、揚げ物等を追加して満足感を得ようとする。

 カロリーが増すだけでなく、これを毎日繰り返すことで、脂肪酸に鈍感になる。続けて摂るとその味に鈍感になるることは多くの報告が出ている。

 味覚が脳相反応を起こして消化と満腹感につながることを前述したが、鈍感になるとこれが起こりにくくなる可能性があり、その結果、満腹感が訪れるまでに時間が余計にかかり、過食につながる。このように、感情・感性の面と脳相反応の面のダブルで食べ過ぎのリスクを背負うことになり、「味覚の感受性低下」がメタボリックシンドローム発症リスクを生むのである。

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