パンデミックが示した課題 ③
続き:
■ 日本人の暮らしと責任
日本人のエキゾチックペットブーム(※ 野生動物と人間の接触の機会を増やす生物取引は、ブッシュミートなどの食用に限らず。忘れてならないのは「エキゾチックペット」と呼ばれるペット目当ての野生生物取引の存在だ。これは日本人の暮らしに深く関連する。象牙・トラ、サイの角・サイチョウ・スッポンモヂキ・カエル・イモリ・ヘビ・カワウソ・爬虫類のボルネオミミナシオオトカゲ・ラオスのイボイモリ等)をみればわれわれの消費生活が感染症まん延の原因と深く関連していることは明白だ。
東南アジアの熱帯林破壊の最大の原因とされるアブラヤシのプランテーションから生産されるパームオイルは、食品や菓子、石けんや化粧品など日本の店頭に並ぶ商品の多くに使われている。日本は、コンゴ民主共和国などアフリカのコンゴ川流域の諸国からかなりの量の木材を直接輸入している。ゴリラなどの野生生物の生息地破壊だけでなく、児童労働や奴隷労働との関連、ゲリラ組織の資金源との関連が指摘されるコバルトやコルタンなどが巡り巡って、われわれの手の中のスマートフォンや机上のパソコンの中の電子部品に使われていることが市民団体によって指摘している。
日本人の暮らしが、遠い国での環境破壊を通じて動物由来感染のリスクを拡大させていることへの大きな責任を認識し、これまでの進み方の大転換に取り組むべき時である。
だが、日本政府に、気候危機や環境危機の解決を復興政策の柱の一つとし、巨額の公共資金をてこに、脱炭素化や持続可能な経済への転換を進めようとの視点は皆無だ。逆に、観光支援事業「Go To キャンペーン」などが、温室効果ガスの排出増加を招く懸念すらある。
しかも復興投資の財源は赤字国債だ。現役世代が税金などの形で赤字削減に貢献しなければ、借金は次世代の若者に回される。「未来への投資」を行うことなく、彼らの負担によって、気候危機と環境危機を悪化させるような近視眼的な復興を行った結果、感染症のまん延や温暖化の影響、自然破壊などの「環境負債」をも背負わせることは二重の不正義である。それは決して許されることではないのだ。
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