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2020年9月14日 (月)

Clinical ~発達不全と低下~ ③

続き:

2. 口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方

 口腔機能発達不全症は、正常な定型発達児がし得る機能を獲得できていない状態であり、日本歯科医学会は平成30年3月に「口腔機能発達不全症に関する基本的な考え方」を発表した。その特徴を示す。

🔶口腔機能発達不全症の特徴

 ①疾患名:口腔機能発達不全症

 ②病 態:「食べる機能」、「話す機能」、その他の機能が十分に発達していないか、正常に機能獲得ができておらず、明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく、口腔機能の定型発達において個人因子あるいは環境因子に専門的関与が必要な状態。

 ③病 状:咀嚼や嚥下がうまくできない、構音の異常、口呼吸などが認められる。患者には自覚症状があまりない場合が多い。

 ④診断基準:チェックシートの項目C-1~C-12のうち2つ以上に該当するものを「口腔機能発達不全症」と歯科医師が診断する。

    ※ 「口腔機能発達不全症」指導・管理記録簿(略)にチェックを記録する。

 小児の口腔機能発達不全症は、理論上、0歳から対象となる得るので、言語理解や従命という点で、検査機器を用いた客観的評価が難しいのが実際である。小児の口腔機能発達評価マニュアルにも述べているが、年齢が高い小児患者においては、口唇閉鎖力測定や舌圧検査での評価を推奨している。本調査方法に関しては、今後の研究調査結果から標準化されることが望ましいと考える。

 参考までに口呼吸の見られる子どもの口腔を示すチェックリスト(図 略)に基づき、治療計画立案し、継続的に口腔周囲の不全状態を改善することとなる。特に「明らかな摂食機能障害の原因疾患がなく」という部分がとても重要であり、脳性麻痺児やダウン症児などは含まれない(本疾患の場合には、摂食機能療法を算定する)。

 ただし、弘中の経験では、まだ確定診断に至っていない自閉スペクトラム症児やボーダーの精神遅滞児などは、食支援の必要性はかなり高いので、注意しなければならない。

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