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2020年9月10日 (木)

人間と科学 第315回 体と心の5億年(5)―チャールズ・ダーウィンの『種の起源』 ②

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 話を、ロンドンの大英自然史博物館に戻そう。この博物館には、そんな両生類の展示や様々な生物の多様な世界が、実物で展示されている。こういう自然の世界の多様性、豊かさ、そしてそこを貫いている法則を明らかにした偉人として、イギリス人であるチャールズ・ダーウィンを讃え、崇めている証しとして、この博物館の中心にダーウィンの肖像彫刻が置かれている。

 『種の起源』(1859年)は、そのチャールズ・ダーウィンの記念碑的著作だ。ダーウィンは若い頃、『ビーグル号航海記』に書いた旅で、地球の大自然を目の当たりにし、生物への知見を深めた。この星には、なぜかくも多様な生物がいるのか。その理由を「生存競争」と「自然淘汰」であると説明し、そこから「進化」という見方を導き出したのが、この『種の起源』だ。

 ダーウィンは「生物は個別に創造されたとする説ではまったく理解できない幾つもの事実がある」と書く(渡辺政隆 訳 『種の起源』、以下の引用も同署)。そして「個々の種は個別に創造された訳ではなく、変種と同じように、別の種から由来したものだと結論に至った」という。この『種の起源』は、そういう自然淘汰の仕組みを、地道に淡々と検証していく本である。

 ともあれ、そのような検証によって「進化」という見方が浮き彫りになっていく。生命は海で誕生し、背骨を持った魚に進化し、両生類・爬虫類へと進化し、やがて哺乳類からヒトが誕生した。そういった「進化論」の宣言だ。

 ところで、私(布施)のテーマは「体と心の関係」である。ダーウィン進化論では、体の進化についての説明なのではないか、心の話はどうなった? と思われるかもしれない。しかし『種の起源』には、あまり知られていないが、心の進化についても書かれている。ダーウィンは、そこでは、「本能」という言葉を使う。

 

 「身体構造の変化は、使用されること、すなわち習性によって生じて増大し、使用されなくなることで縮小したり消失したりする。本能の場合も同じである」

そしてこうも書く。

 

 「『自然は飛躍せず』という自然史学の格言は、身体構造のみならず本能にも適用可能である」と。

 

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