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2020年10月21日 (水)

ベーシックインカム(連帯経済としての) ①

山森 亮(同志社大学経済学部教授)さんの小論文を掲載 コピーペー:

 2020/07/18、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、普遍的なベーシックインカムの必要性に言及した。コロナ禍のなかで、スコットランド首相、ローマ法王なども同様の発言をし、ブラジルやスペインでは緊急ベーシックインカムの支給が決まったと報道されている。

 ベーシックインカムとは、すべての人に、個人単位で、資力調査や労働要件を課さずに無条件で給付されるお金である(ただし前記ブラジルとスペインの給付は資力調査を伴う)。

 本稿では、コロナ禍のただなかでベーシックインカムを目指した給付を行なっている自治体の挑戦の紹介から始めて、私たちにとってベーシックインカムが意味するものを考えていきたい。

 連帯経済とは、連帯、互酬性、協同などの原理にもとづいたオルタナティブな経済的実践であり、具体的な実践形態としては地域通貨、マイクロクレジット、フェアトレード、消費者協同組合や労働者協同組合などがある。老子の言葉として伝わっているものに、「授人以魚 不如授人以漁(人に魚を渡すより、漁の仕方を教えた方がよい)」という言葉がある。連帯経済で皆が工夫して漁の仕方を学びあったりしながら漁をすることであるのに対して、ベーシックインカムは魚を渡しているだけではないか、というわけだ。

果たしてそうだろうか。以下では、連帯経済の一環としてベーシックインカムを進めようとしている取り組みを紹介すると同時に、歴史的に見てもベーシックインカムはその考え方の始まりからして連帯経済的な取り組みとしてあったことを振り返りながら今後を展望したい。

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