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2020年11月25日 (水)

「容量市場」とは何か ⑤

続き:

   低コストと実用が進む蓄電池

 2020年2月にフランスで行なわれた容量入札では、合計 253MW のエネルギー貯蔵と124MW の需要側管理が落札した。フランスは参加できる容量に200g(co2)/kW時の炭素制約を設けているので、事実上、蓄電池と需要側管理以外には参加できない仕組みとなっている。

 南オーストラリア州では、容量メカニズムではないが、2017年にテスラ社が建設した 100MW/129MW時の巨大バッテリーが、周波数調整市場で大活躍し、僅か3年弱で投資回収に成功したほか、2018年夏に起きたあわや停電という事態も未然に防止している。

 2020/05/08には、インドで24時間365日稼働が条件の「太陽光+バッテリー」の入札が行なわれ、東京電力と中部電力の発電子会社JERAが資本参加する企業が約 5.4円/kW 時で落札した。この価格はインドの通常の電力調達価格を下回っており、「太陽光+バッテリー」がすでに競争力を持ったことを意味する。

 24時間365日稼働できる「太陽光+バッテリー」はベースロード電源だが、それ自体が柔軟性を持った調整力にもなる。しかも太陽光は過去 10年で発電コストが 9 割減、蓄電池も 75%減と、いずれも技術学習効果によってコストが下がっており、この先も継続的なコスト低下と急速な拡大が予測される。となれば、インドにとどまらず、今後ますます世界中で24時間365日稼働する「太陽光+バッテリー」や、南オーストラリア州のような巨大バッテリーが広がってゆくに違いない。

 今後の主力エネルギーとなる自然変動型の太陽光発電と風力発電を飛躍的に拡大する上で、柔軟性のない原発はおろか、石炭火力やガス火力を維持する必要は、本来、市場の倫理からいっても早晩なくなる。この変化の速さを考えると、数年先の「容量」を維持する容量市場という制度自体が、意味がなくなる時代に突入しつつある。

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