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2020年11月16日 (月)

Clinical 口腔内スキャナー~補綴装置製作(精度・可能性)~③

続き:

検証  間接法/直接法での補綴装置の製作

 はじめに、適合精度を調べるために3歯連結冠を製作した。間接法では石膏模型上で鋳造冠を製作し、直接法では口腔内を直接スキャニングしたデータで削り出し冠を製作した。直接法では支台歯との隙間をあらかじめ 10μと50μの2種類に設定してチタン金属冠とハイブリッド型コンポジットレジン冠を製作した。続いて、間接法でジルコニアの単冠を製作し、直接法ではチタン冠とフルジルコニア冠の単冠を製作した。

 間接法で製作した鋳造冠やジルコニア冠を作業用模型に試適してみると模型上では正確にフィットしていた。間接法は模型上で製作して合わせていうので当然の結果である。また、直接法で製作した補綴装置を 3Dプリンター模型に試適すると正確にフィットしていた。これも同じ口腔内スキャンデータで製作した 3Dプリンター模型なので当然の結果ある(図略)。

 次に、直接法で製作した 3歯連結冠を間接法で製作した石膏模型に試適してみると、石膏模型のマージンラインに適合していない部分が見られた。このことから間接法で製作した石膏模型と直接法で製作した3Dプリンター模型は同一の形態ではないことが分かる(図略)。直接法で製作した 3歯連結冠を口腔内に試適してみると適合は良好で、がたつきや浮き上がりは見られない。内面をフィットチェッカーで調査すると天井部分には厚みがあるが軸面はむらの少ない均一の厚みを保った状態であった。しかし、歯肉縁下のマージンラインのフィットは、やや深く入り込んでいる部分で良好とはいえないところが見られた。口腔内スキャナーによる歯肉縁下のスキャニングが正確に取り込めていない可能性がある。同じデータで製作したレジン連結冠でも同様の結果であった。

 製作した冠をそれぞれ口腔内で試適して、フィットチェッカーを用いて内面適合を比較した。間接法で製作した3歯連結冠の適合は天井部、軸面において全体的に良好であったが、厚みにむらがあった。10μのセメントスペース設定冠は、軸面は均一で薄く、天井面は厚みがあった。50μのセメントスペース設定冠は軸面において均一で、10μの冠と比べると厚みがあった。これらから、鋳造冠とミリング冠の製作方法の違いによって内面適合に違いがあることが分かった。

 間接法で製作した3歯連結冠と、10μ、50μのセメントスペースを設定した直接法で製作した冠をそれぞれ口腔内で指摘して、フィットチェッカーを用いて内面適合をひかくした(図略)。間接法で製作した連結冠の適合は天井部、軸面において全体的に良好であったがフィット面に厚みのむらがあった。10μのセメントスペース設定冠は、軸面は均一で薄く、天井面は均一でやや厚めであった。50μのセメントスペース設定冠は軸面において均一で10μの冠と比べると厚みはあるが天井面の厚みは同様であった。これらから鋳造冠とミリング冠の製作方法による違いで内面適合に違いがあることが分かった。

 次に間接法で製作したジルコニア冠の精度を検証した。模型上で隣接面コンタクトは良好な接触状態であったが、口腔内に試適するとコンタクトの削合調整が必要であった。また、対合歯との咬合面コンタクトも削合調整が必要だった。ブルーシリコーンで内面適合を調べてみると、大臼歯は良好だが、小臼歯では厚みにむらが見られた。咬合面コンタクトは強く強くコンタクトしている部分は確認。しかし、3歯そrぞれの内面適合性は無調整でてきごうした。このことから間接法による模型は1歯レベルでの支台歯の変形は少ないが、3歯の歯列レベルでの変形は無視できないことが分かった。

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