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2020年11月30日 (月)

人間と科学 第318回 今と似ていない時代(2) ③

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 つまり、有孔虫の化石を泥の中から集めてきて、その殻のある種の重さ(厳密には同位体比と呼ばれる量)を測定することで、当時の地球の陸上に存在していた氷の総量が分かるのだ。陸上に氷が多い時代とは、氷期のことに他ならない。こうして科学者たちは、氷河が積み残した砂利の丘よりもはるかに信頼性が高い、過去の氷期に関する「証拠」を手に入れることができた。

 分析の結果は衝撃的だった。過去に氷が多かった時代は4回などではなく、何10回もあったことが分かった。しかも氷期は、「たまに訪れる寒い時代」ですらなかった。たとえば過去およそ100万年の地球にとって、もっともありふれた状態とはむしろ氷期のほうであって、現代のような暖かい時代は、圧倒的に長い氷期と氷期の間に挟まる例外的な時代でしかなかったのである。

 因みに、最後の氷期が終わったのは今からおよそ1万1600年前のことである。私たちが知っているいわゆる「古代文明」はすべて、氷期が終わった後の暖かい地球でしか成立していない。人類進歩の到達点のように見られることもある「文明」だが、地質学的なスケール見ると、地球が例外的な状態でいるときにしか成立することのできない。きわめて危うい存在に過ぎないのかもしれない。

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