Science 口腔環境を支える唾液研究 ⑧
続き:
6. エナメル質表層下脱灰
歯の表層は、再石灰化を促すイオン、すなわち Ca イオン、リン酸イオンが過飽和に含まれた唾液で常に覆われているために、石灰化度は良好であるが、表層下に進むにつれて耐酸性は低下し ていく。
酸は歯に触れるとエナメル小柱を伝って表層下に侵入していく。表層は脱灰から免れても表層下で先ほどの反応式が右方向に進み、脱灰が進行していく。
したがって脱灰(う蝕)は歯の表層から始まるのではなく、表層下から進行し、やがて表層のエナメル質に達してう窩が生じて材料で補う治療が必要となる。
エナメル質の初 期脱灰 (White spot)は表層下で脱灰を進行している状態なのだ。この段階ではう蝕は可逆的で、もとの健全なエナメル質に戻すことが可能となる。
どの程度脱灰が進行しているかを診断するには QLF (Quantitative light-induced fluorescence) を用いると脱灰面積、深さ、脱灰量を数字で見ることができる。
White spot 表面の環境を改善し、就寝前フッ素洗口を繰り返すことにより、脱灰部が再石灰化されていくのを確認することが可能となった。
再石灰化療法は究極の予防、あるいはう蝕処置と言える。
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