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2020年11月17日 (火)

Clinical 口腔内スキャナー~補綴装置製作(精度・可能性)~④

続き:

 直接法で製作したチタン冠とジルコニア冠は、間接法で製作した模型に試適してみるとコンタクトが合わない。しかし、口腔内に試適するとコンタクトは未調整でジャストフィットしている。隣接面コンタクトと咬合面コンタクトは無調整で装着することができた。ブルーシリコーンで内面適合をチェックするとほぼ均一であった。また、咬合面コンタクトも設計通りに舌側咬頭の内斜面に均一にコンタクトしていることを確認できた。このことから、間接法の模型と口腔内の形状が同一ないことが分かった。

 以上の結果から、ジルコニアなどの CAD/CAM 冠は、間接法で製作するより直接法で製作したほうが適合精度は高く、隣接面コンタクトや咬合面コンタクトの調整も少なく済むことが分かった。鋳造冠と CAD/CAM 冠の内面適合性は間接法で製作した鋳造冠のほうが良好であるが、咬合調整やコンタクト調整を必要とすることが多い。CAD/CAM 冠は、レジンセメントの接着性と強度が向上したことで、現状の内面適合でも適切なレジンセメントの操作をしていれば臨床的に問題がないことは、10年以上の多くの経過症例から実感している。

 これらの直接法で製作する CAD/CAM 冠は基本的には作業用模型を必要としないが、ジルコニアにセラミックを築盛する場合やロングスパーンのケースでは 3D プリンター模型が必要となる。

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