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2020年11月15日 (日)

Clinical 口腔内スキャナー~補綴装置製作(精度・可能性)~②

続き:

1. 口腔内スキャナーとは

 口腔内スキャナーとは、口腔内を特殊なカメラでスキャニングしてデジタルデータ化する機器だ。

 口腔内スキャナーは構造により 2 つに分けられる。口腔内スキャナーと CAD/CAM がセットとなっている一体型の機器と、口腔内スキャナー単独の機器である。

 前者は院内完結型の機器で補綴装置の設計、色付け、仕上げ研磨までその歯科医院内で行う必要があるが、外部への技工依頼が不要なため即日完成させることが可能である。自ら補綴装置の設計や製作を行う歯科医院や院内技工士がいる医院に向いている。

 後者は、Web 環境と口腔内スキャナーがあればすぐにでも使用可能だ。口腔内をスキャニングし、技工指示をメールで歯科技工所に送信すれば、指定の日時に技工物が完成してデリバリーされる。補綴装置の製作をすべて外部の技工所に任せる場合や、ハイエンドなミリング機器ヤ 3D プリンターを用いた高い精度の補綴装置を外部技工所に任せる場合に向く。

 今回は、外部に技工を委託する口腔内スキャナーシステムについて検証する。

2. 口腔内スキャナーで変わること

 分かりやすくするために、従来の印象材と石膏を用いて口腔内歯列の作業用模型を製作し、補綴装置を製作していく方法を間接法とする。それに対して口腔内スキャナーで口腔内スキャニングを行い、そのデータをを用いて製作する方法を直接法とする。

 CAD/CAM で製作するジルコニア冠などの補綴装置は、間接法でもデジタルデータに変換して製作するため、作業用模型製作の工程が省ける直接法のほうが合理的だ。また、口腔内スキャナーで得られた口腔内データはパソコンやクラウドなどに保存ができて、いつでもどこでも許可を受けた者が使用できる。このデジタルデータが口腔内スキャナーの最大の利点である。

 例えば、術前の口腔内情報と術後の口腔内情報、数年経過後の口腔内情報を入力しておけば、口腔内写真やX線写真のようにいつでも咬合状態や歯列、歯肉状態を 3D 画像で比較や経過観察することができる。今までのように石膏模型を残しておく必要もなくなる。また、データとして保存されるので、印象採得や模型製作の必要がなくスタッフの手間も少ない。スキャンニングデータは歯科技工所へ直接メール送信できるので模型を配達する必要がなく、模型を介しての感染の拡大もない。また、印象材や模型材を使用しないので印象材や石膏の購入費用が減り、医療廃棄物は減少しエコである。

3. CAD/CAM 冠

 透過性のあるジルコニアの登場によって CAD/CAM 冠は急速に普及してきた。陶材焼付冠からジルコニア冠への移行は年々進んでおり、今後も増加していくだろう。現在、多くの歯科医院ではジルコニア冠を歯科技工所へ依頼する際、印象採得した作業用模型を送っている。歯科技工所は歯科医院から送られてきた石膏作業用模型を 3D スキャンニングし、デジタルデータ化する。

 今回、患者の協力を得て上顎右側第1小臼歯・上顎右側第2小臼歯・上顎右側第1大臼歯に補綴装置を製作する際、口腔内を印象採得して石膏模型を製作し補綴装置を製作する方法(間接法)と、口腔内をスキャナーでスキャニングして直接 CAD/CAM により補綴装置を製作する方法(直接法)で補綴装置を製作して、その精度の検証を行った。

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