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2020年12月26日 (土)

ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在 ⑦

続き:

   日本型プラットフォームビジネス――「Society5・0」

 2017/12/08、に内閣が閣議決定した「新しい経済政策パッケージ」に「Society 5・0」が登場する。ここでは「第四次産業革命の社会実装」が掲げられている。社会をAI、ICT、ビッグデータを活用してつなぎ合わせるのだ。対象分野は、医療、介護、教育、産業活動、交通、都市計画、行政など様々な領域に及ぶ。この決定を受け継ぎ、経産省産業構造審議会新産業構造部会事務局は 2017/05/30、付資料「新産業構造ビジョン」で次のようなことを提示した。「我が国産業が海外のプラットフォーマーの下請けに陥ることにより、付加価値が海外に流出」することを防ぎ、「社会課題を解決する新たなサービスを提供し、グローバルに高付加価値・高成長部門を獲得」する。つまり、日本政府がプラットフォームビジネスの振興を目指しているのである。

 この方向は、2019/06/11、の内閣府統合イノベーション戦略推進会議による「AI戦略2019」、2019/06/21、の「統合イノベーション戦略2019」において、よりいっそう明らかになる。ここでは、「数理・データサイエンス・AI」に関する知識・技能の育成を通じた経済発展、大学入試改革、高校に新しい学科(情報Ⅰ)の設置、社会人の学び直しであるリカレント教育の必要性を指摘。そのうえで、不足する人材をどうやって育成するのかということが焦点となった。だが、だれもが高度な知識、技能を求められているわけではないということも同時に明らかにすることになった。「戦略」は、人材をハイエンド、ミドル、ローの三つに分けて提示している。ハイエンドが中核人材であり、ミドルがそこを補佐する役割を担う。問題はローだ。大多数の「ふつうの」人はここに所属するから。これまでみてきたように、ローに振り分けられるということは、下請け企業で雇用されるかもしくは個人請負として「ジョブ型」の労働を担うということを意味している。その結果、低い労働条件に固定化される可能性が高まる。

 ネットワーク型ビジネスは、戦略立案力、連携力、コスト削減力という三つの競争力の源泉とする。そうして、複数のネットワーク型ビジネス間で競争を繰り広げる。だからこそ、中核人材に求められる能力の水準とネットワーク全体のコスト削減圧力が高まっているのだ。それは、中核人材の労働条件と福利厚生を手厚く、そうでない労働者の労働条件を低くするという形であらわれている。こうしたことが所得の二極化をもたらしているのだ。

 これは日本だけでなく、どの国でも直面している構造的な問題だ。「フリーランスや雇用類似労働者の権利や社会保障」の向上や「非正規雇用労働者と正規雇用労働者の間の処遇格差」解消、最低賃金の引き上げといったことが必要なことは言うまでもない。しかしそれだけでは不十分である。ネットワーク型ビジネスが世界中で競争しあっているということそのものが問題だ。日本がこれまでに「経済の二重構造」を克服できていないように、ネットワーク型ビジネスに内在する構造的な問題を制御することはどの国にとっても難しい。発展と二極分化がどこまで許容できるのか、各国ともにせめぎ合いのなかにいる。

 

 

 

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