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2020年12月21日 (月)

ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在 ②

続き:

    ネットワーク型ビジネス

 ネットワーク型ビジネスは、複数の企業と個人を結び付けることで競争力を発揮する。その中身は、戦略立案力、生産性と付加価値の向上、コスト削減といったことがらである。これらを基にして、ネットワーク間で競争を繰り広げる。ここには、情報通信技術(ICT)とAIの存在が不可欠だ。ICTは1990年代から、AIは2010年代から急速に発展した。AIは、人間が担う仕事を近い将来に置き換えてしまうとの考え方があるが、本質はそこではない。ネットワークのつなぎ目としてAIやICTが使われることに着目しなければならない。

 このモデルは新しいものではない。原型は1980年代の日本にある。自動車、鉄鋼、工作機械といった産業において、日本はアメリカ、ヨーロッパの市場を席巻した。その時の競争力の源泉がネットワークにおける組織効率の高さだった。それは次のようなかたちでつくりあげられた。

 ネットワークの中枢には、全体の戦略を立案し、連携を促す企業が位置する。そのパートナーとして研究開発や販売、物流を担う企業やフリーランスの労働者と、二次・三次下請け企業が参加する。ここには、正規雇用労働者だけではなく、有期契約労働者や請負労働者がいる。企業の内側ではひとりひとりの職務を重ね合わせることで連携を促進している。企業の外側では、複数の企業や個人で参加するフリーランスを密接につなげる。こうしてネットワークが、さながら一つの組織であるかのようになるのである。

 そのための条件は、「日本的雇用慣行」や「メンバーシップ型雇用」と言われるものだった。その内容は、長期間にわたる専門的能力の育成と組織学習、長期雇用を促す報酬制度、労使関係と企業内コミニケションを通じた従業員間・部門間連携の促進である。

 青木昌彦(2001年 NTT 出版 『比較制度分析に向けて』)は日本発のネットワーク型ビジネスモデルを「水平的ヒエラルキー(Horizontal Hierarchy)」という概念を使って説明している。これは、主任同士、課長同士といったような企業内の水平関係にある従業員が情報を共有するとともに、経営上の意思決定に参加するもので、日本の自動車製造と工作機械産業において顕著にみられた・

 これにより、企業内と企業外の密接な連携が可能になったのである。企業内においては、研究開発、生産現場、サプライチェーン、顧客対応という主要な機能が密接につながりあう。企業外においては、研究開発を担うパートナー企業や販売会社、部品の製造を担う二次・三次とつながる下請け企業、物流企業という提携関係がある。景気変動に応じて増減可能な臨時雇いの労働者も繋がる。このうち、ネットワークの中核に位置する企業及びそのパートナー企業に雇用される労働者に求められる能力を、日本経営者団体連盟国際部は1991年に「訓練」「職務」「報酬」「参加」の四つで整理した。

 「訓練」は労働者に必要な知識、技能を身につけるために行われるのと同時に、労働者を企業の一員として順応させる機能を持つ。

 「職務」は配置転換、ジョブローテーション、多能工などによって従業員間の連携を促す。

 「報酬」は昇進と職務を賃金とリンクさせる。

 「参加」は会議や問題解決、労使協議などを通じて労働者を巻き込んでいく。

これら四つの要素を相互に連携させることで、労働者の知識、技能の育成、職務や企業者活動への適応力の向上、動議付けにつなげていくのである。これが「日本的雇用慣行」や「メンバーシップ型雇用」と呼ばれるものの中身だ。

 

 

     

 

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