ジェネレーション・レフト宣言 ①
齋藤幸平(大阪市立大学大学院経済学研究科准教授)さんは「世界 11」に小論を載せている。コピーペー:
■ コロナ禍が可視化したもの・不可視化したもの
収束の見えない新型コロナウィルスの世界的流行は、両義的な事態を引き起こしている。まず、今回のパンデミックは先進国で生じたために、私たちの社会的関心を一挙に独占してしまい、他の危機的問題の存在を不可視化してしまった。その最たる例が気候変動問題だろう。2019年末には、グレタ・トゥーンベリらの「未来のための金曜日」が世界的な盛り上がりをみせ、欧米を中心に、「グリーン・ニューディール」の議論が活性化していた。だが、感染症抑制と景気回復という切迫した課題を前に、気候危機対策の優先順位は後退してしまった感が否めない。
一方でパンデミックには、これまでに存在しながらも周辺化されていた危機を、はっきりと社会に可視化させたという側面もある。深刻な格差・貧困問題もそうだが、行き過ぎたグローバル資本主義が気候変動やパンデミックを引き起こし、社会の繁栄条件を掘り崩すという事実を白日の下に晒したのである。
要するに、パンデミックの両義性はこうだ。コロナ禍は多くの問題を周辺化する一方で、同時に、グローバル資本主義というパンデミックよりも根源的な問題の存在を浮かび上がらせたのである。
しかも、グローバル資本主義が引き起こしている環境危機そのものは、新型コロナ・ウィルスのワクチンが開発されたとしても、解決されない。際限なく拡大し続けるこの経済システムの暴走に終止符を打たない限り、環境危機の悪化は止まらないのだ。
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