ネットワーク型ビジネスモデルと働き方の現在 ③
続き:
プラットフォームビジネスの登場
1980年代に欧米市場を席巻した日本発のネットワーク型ビジネスは、次第に欧米諸国によってキャッチアップされていく。ただし、その手法は日本と同じではない。専門的な職業能力を持つ労働者が所属する部門が競い合うという形でネットワークを構築していったのだ。
その一つが、ドイツが行なう「インダストリー4・0」だ。インダストリー4・0はAI、ICT、ビッグデータを駆使して複数の企業と個人が連なるネットワークを構築している。舞台の中心は製造業である。最終組み立てを担う企業がピラミッドの頂点となり、製品設計や物流、販売を担うパートナー企業との連携関係が第一段階にあり、部品製造を担う下請け企業やフリーランスで働く労働者が連なる。ネットワークの中核を担う企業の労働者は「日本的雇用慣行」や「メンバーシップ型雇用」と似たような管理をされている。
インダストリー4・0は、ネットワーク型ビジネスであると同時にプラットフォームビジネスの一つだ。プラットフォームとはコンピュータで使われる基本的なシステムのことで、ウインドウズ10とかAnddroidとかmac OSとして知られる。プログラムやアプリケーションは、基本システムがなければ動作することができない。プラットフォームビジネスはこの仕組みを応用したものである。製造業だけでなく、買い物代行、配車サービス、在宅介護、保育、オフィスシステムなど様々な分野に拡大している。プラットフォームビジネスもネットワーク型ビジネスなのだ。その中核企業の内側でも「日本的雇用慣行」、もしくは「メンバーシップ型」と似たような管理が行なわれている。全体が一つの有機体となるように戦略を立案し、その上に連なる企業や労働者、顧客は、プラットフォームが必要不可欠となればなるほど、全体の戦略を描く企業に依存せざるを得なくなる。これは、日本発のネットワーク型ビジネスでみられた元請け下請け関係と同じ。
いまや世界経済をプラットフォームビジネスがリードする。広告宣伝、小売り、オフィスシステムのクラウドサービス、スマートシティ、モビリティ(交通)、金融、発電などあらゆる分野に拡大している。そのそれぞれで、プラットフォームビジネス同士の競争が繰り広げられる。ネットワークは国境を超えて組織される。それを可能にしたのも、AI、ICTの発達である。
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