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2020年12月30日 (水)

人間と科学 第319回 今と似ていない時代(3)―③

続き:

 地球の公転軌道を巨大な「輪ゴム」のようなものだと思ってみて欲しい。この輪ゴムが宇宙空間に浮かんで、ある種の振動をしているのである。すなわち、はじめは真円に近かった公転軌道が次第に細長い楕円になり、再び真円に近い形に戻る。このサイクルが完結するのに必要な時間が、輪ゴムがあまりにも巨大であるために、10万年もの歳月になるのである。

 公転軌道が真円に近いとき、地球と太陽の距離は1年を通じてあまり変化しない。しかし軌道が楕円になると、1年の中に、地球と太陽の距離が近い時期と遠い時期とが発生する。因みに現代の地球は、日本が冬のとき太陽に近く、夏に太陽から遠い。つまりこの時間スケールで見ると、現代は「涼しい夏、暖かい冬」の時代ということ。

 一方今からおよそ1万年前、氷期が終わった時の地球は、夏に太陽に近く、冬に太陽から遠かった。「暑い夏、寒い冬」の時代である。地球の公転軌道が長細く、しかも夏に太陽に近づくようになった時、例外的に強い夏の日差しが照りつけ、それまで9万年かけて分厚く育った氷河を溶かし始める。これこそが、本来は「普通の状態」である氷期が10万年に1回だけ終焉を迎えて、温暖期に移行していく理由である。

 地球の公転軌道は、地表でどのような人間活動がおこなわれていようと関係なく、物理学の法則に従ってその形を変え続ける。即ち、地球をふたたび氷期に押し戻そうとする力は、これから数万年かけてしだいに強くなっていく。その自然の力が勝って実際に氷期がやってくるのか、それとも温室効果ガスの作用が上回って、次の氷期は回避されるのか。

 人間にとっては重要な分岐点に違いないが、どちらのシナリオが正しいかについては専門家の間でも意見が分かれ、本当の意味での定説はまだ存在していない。

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