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2021年1月 2日 (土)

Science 歯周病とアルツハイマー病 ~関連性とエビデンス~ ②

続き:

3. アルツハイマー病と炎症

 ADの発症や認知機能低下の重要な要因として脳内の炎症が考えられている。AD患者の剖検脳では、老人斑の周囲に活性化したミクログリアの蓄積が認められている。また、非ステロイド性抗炎症薬(NIAIDs)を長期間服用しているリウマチ患者では、ADのリスクが約1/6に低下したことが報告されている。

 脳内Aの炎症は Aβの蓄積を促進するとともに、Aβの沈着は炎症反応を誘導し、シナプスの損傷や神経細胞の損傷を引き起こす。近年、炎症反応を制御する分子の一つである TREM2遺伝子の変異が AD患者発見され、ADの病態における炎症反応の重要性が再認識されている。

 中枢神経系の免疫系は極めて単純で、後天的な免疫系は存在しない、免疫応答は自然免疫系が担っている。ミクログリアは、脳内の微小環境が安定しているときは休眠状態であり、正常な中枢神経系の機能を維持する。しかし、微小環境に変化が起こると、ミクログリアは活性化し、シナプスの剪定や異物の除去を行う。

 活性化したミクログリアは、細胞形態や表現型の変化を示し、サイトカインや各種炎症性メディエーターを産生する。ミクログリアの活性化には、脳内へのウィルスや細菌の感染や神経炎症に寄与する様々な物質が関与している。細菌のリポ多糖(LPS)やAβはミクログリアを活性化。活性化したミクログリアは増殖能を持ち、貪食能や抗原提示能を高め、病変部位の損傷した神経細胞を除去するとともに、サイトカイン、ケモカイン、脳由来神経栄養因子(BDNF)などの様々な液性因子を放出して神経を修復する。

 これらの因子が過剰に放出されると神経障害が引き起こされる。

 実際、ADやパーキンソン病などの神経変性疾患の病態部位いは、活性化したミクログリアが蓄積していることが観察されている。このように、ミクログリアはADの病態形成に深く関与している可能性がある。

 一方、軽微な全身性の炎症は認知機能を低下させて、ADのリスク高めることが報告されている。AD患者は血中の TNF-αレベルが上昇しており、また、それは認知機能の低下と相関している。LPSや TNF-αは血液脳関門(BBB)の透過性を増加させ、炎症性メディエーターの脳内への侵入を亢進することで、脳内のミクログリアが活性化され、脳内の炎症が促進される可能性がある。

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