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2021年1月 5日 (火)

Science 歯周病とアルツハイマー病 ~関連性とエビデンス~ ⑤

続き:

5. P.gingivalis による脳小血管疾患の誘発の可能性

 脳血管病変はADの重要な危険因子であることが知られている。剖検に基づく病理組織学的解析から、ADと診断された患者の80%程度に脳小血管病(SVD)、頭蓋内動脈硬化症、脳アミロイド血管症(CAA)による皮質梗塞、ラクナ梗塞、脳微小血小板症、多発性微小梗塞が認められている。

 これらの疾患は、脳血流の低下と BBB 透過性の増加をもたらし、認知機能障害を悪化させる可能性がある。P.gingivalis がADを悪化させるメカニズムの一つは、それらの脳血管障害の悪化である可能性がある。

 また、歯周病は脳卒中の独立した危険因子であることが報告されている。P.gingivalis に対する抗体価の増加と脳卒中の発症との間に正の相関関係にあることが報告されている。

 P.gingivals は炎症のある血管に付着する傾向がある。P.gingivalis は Buerger 病患者の末梢動脈で頻繫に検出されている。虚血性心疾患患者の冠動脈や大腿動脈からは100%の確率で P.gingivalis が検出されることが示されている。

 P.gingivalis は、その外膜タンパク質の一種である pgm6/7 を介して血管内皮表面の E-selectin に付着する。また、炎症を起こした血管病変細胞に侵入する。P.gingivalis は gingipain(Lys-gingipain:Kgp、Arg-gingipain A:RgpA、Arg-gingipain B:RgpB) などのトリプシン様システインプロテアーゼを産生し、歯周病とともに血管病変の病態形成に関与している。即ち、gingipain は血液凝固系を活性化するとともに血管内皮細胞に発現する抗凝固因子トロンボモジュリンを分解するため、血管内に血栓が形成されやすくなる。

 また、gingipain は内皮細胞を直接障害する。このような gingipain の作用は、AD に随伴する脳小血管病の病態形成に関与している可能性がある。

 

P.gingivalis gingipain による脳小血管病の誘発と認知症への影響

 加齢高血圧➡脳小血管病<◉脳アミロイド血管症 ◉皮質下血管性認知症>

 

     Aβ過剰産生    虚血脳微小梗塞    脳出血

 

                ↓

 

             < 認知症 >

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