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2021年1月10日 (日)

キャシュレス社会のワナ ①

笠井哲也(朝日新聞記者―金融取材チーム)さんは「世界 12」に載せる。 コピーペー:

   キャシュレスを推し進める政府

 クレジットカードや銀行カードローンで過度な借金を抱えるケースは決して少なくない。多重債務問題を扱う弁護士や司法書士の相談でも、最近はそんなケースが目立つという。

 実際、クレジットカードの債務を返せなくなっている人は増えている。指定信用情報機関シー・アイ・シーによると、分割払いやリボ払いの残債額をさす「割賦残債額」がある情報のうち、約束された返済日から 61日以上、または 3ヵ月以上支払いが延滞している「異動情報」は、2020年9月が148万件で116万人。統計を取り始めた2011年2月以降、最高水準だ。

 増加の一因として、政府がここ数年キャシュレス推進を成長戦略に掲げてきたことが挙げられる。

 政府は、主要国のキャシュレス決済の比率が40~60%台であると喧伝。国内では、2019年に26.8%だった比率を2025年6月までに40%に、将来的には「世界最高水準」の80%をめざすという目標をたてている。世界の流れに遅れをとるまいと、法改正も含め事業者側が事業をしやすい環境整備につとめている。

 とりわけ、肝いりとなった政策が、2019年10月の消費増税にともなって始まった政府のポイント還元事業だ。総事業費は予算ベースで7753億円。このうち、中小店舗などが支払う決済手数料の補助には813億円、決済端末の導入費の補助に201億円をばらまいた。

 こうした政策の効果もあり、日本クレジット協会によると、2019年のクレジットカード利用額は前年比10.1%増の73兆4311億円。2年続けて前年比10%超の伸びを記録した。最近ではさらに、新型コロナウィルスの感染対策としてカード利用が広がる。

 弁護士や司法書士の間では多重債務の懸念が高まる。消費者金融業者には貸金業法で、貸し付け上限が「年収の 1/3 以下」と規制されている。しかし、クレジットカードは対象外。加えて、無職でもクレジットカードを作ることができるからだ。多重債務問題に取り組んできた「夜明けの会」(埼玉県)の井口鈴子司法書士は「簡単に(カードを)作れてしまうことが問題。総量規制をクレジットカードにも適用しなければ、多重債務はなくならない」と話す。

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